心臓外科手術後のリハビリテーション

20160509_rehabilitation_01
「リハビリをしましょう!」と言われると、機能回復訓練ととらえ、汗をかきながら一生懸命運動するイメージをしがちです。
心臓外科手術後のリハビリテーションは、術後の状態により異なりますが、基本的には医師の指示の下、翌日から開始します。
まずはベッド上で寝返り動作、起き上がり動作、座る動作、立つ動作、足踏み動作、歩行10m、50m、100m、200m、400m、階段昇降、自転車エルゴメーター・屋外歩行へと医師の管理のもと、患者様の訴え・心電図モニター・血圧・身体状況など注意深く観察し安全に配慮しながら活動を徐々に拡大していきます。

リハビリテーションプログラム

術後
1日:ベッドサイドにて座る
2日:座る~立つ
3日以降:立つ~歩く
・10m~400m
・階段昇降
・自転車エルゴメーター
・屋外歩行
14日程度:退院

これらの運動のほとんどは手術前は自分でできていた動作です。
しかし、術後は、不安定な循環状態、術創部の痛みと動くことへの不安による安静により運動能力の低下、活動性の低下が起こります。
患者様の気持ちに寄り添い活動量を増やし、家庭へ職場へと復帰できるよう応援いたします。
毎週月曜日に術前カンファレンスに参加し、手術内容を把握し術後のリハビリテーションを検討しています。
術前には、胸を開き心臓にメスを入れるという大きな手術に立ち向かう患者様のお気持ちを考えつつ身体確認と術後のリハビリテーションのプログラムのご説明に伺います。

当院は、2013年7月に弁膜症センターを開設し、現在(2016年3月)110症例の外科的治療がおこなわれています。
主に、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症等の弁形成術や弁置換術、動脈硬化を主な原因とする冠動脈狭窄・閉塞による冠動脈バイパス手術などをおこなっています。
患者様は、術前訪問の時「頑張ってきます。またよろしくね。」と言って手術に向かわれます。
術後翌日からリハビリが開始されると“昨日の手術で、もう起きたりして大丈夫なんですか?”と驚かれます。
座って、立って、歩いて、トイレして、歯磨きして・・・と今まで当たり前にしていたことに一喜一憂している患者様に寄り添い、早期に日常に戻れるよう応援していきます。
在宅での運動は、まずは家の中での活動に慣れた後散歩など屋外運動につなげましょう。
散歩は距離・時間ともに徐々に増やすようにしてください。
急激な運動は、心臓への負担になります。
ややきついと感じる程度の負荷で30~60分程度行いましょう。
必ず、準備運動と整理運動は行いましょう。
また、運動療法だけではなく、食事療法も大事です。
体調に留意しながら継続しましょう。