みなさん。こんにちは。
前回と前々回に、赤血球・白血球についてお話してきましたが、今日はやっぱりこれ。
血小板のお話です。
血小板って、どんな板なのでしょうか?
顕微鏡で血液を観るためには、ガラス板の上に血液を薄く塗りつけ、青紫色の染色を施します。
すると、一面の丸い赤血球の集まりの中に、“ぽつんぽつん”と白血球が存在しているのを確認することができます。
その細胞たちの隙間隙間に“小さないびつな形の細胞”を観察できます。
これが血小板です。
血小板には核がなく、大きさは赤血球の1/4程度、赤血球のように真丸ではなく歪な類円形をしており、細胞の周囲はギザギザとしています。
この血小板は、血液1/1000000リットル中に15万~40万ほどあります。
~血小板の止血機構~
『私たちの血管内を流れる血液は、常に流動しており決して凝固することはありません。
しかし、一度血管が損傷されると、血小板は損傷部位に吸着されて止血機構を発現させます。』
① 血管の損傷部位にはコラーゲンが露出されており、そのコラーゲンを標的として血小板上のレセプターが結合します。
結合した血小板は、やがて形態変化を起こし、細胞内顆粒成分を血小板の外に放出します。
この顆粒成分は、血管損傷部位に集まった血小板同士が凝集塊を作るために、糊のような成分を誘導させます。
このようにして作られた凝集は、応急的なので、まだ脆く不安定です。
② 続いて安定な止血栓を作るために、凝固システムが連動して稼働します。
血液中の凝固因子が、次々と雪だるま式な反応を起こし、安定なフィブリン網を形成し、止血栓を強固なものに安定させます。
この血小板たち、生まれた場所はどこなのでしょうか?
血小板は、赤血球と白血球と共通の祖先である多能性幹細胞から分化した、巨核球系幹細胞をお母さんに持っています。
骨髄の中で、巨核芽球→前巨核球→巨核球と成熟を進めますが、細胞分裂せずに核のみ2Nから64Nまで分裂するため、とても大きな核を持つ大型細胞へ変化することができます。
これが名前の由来ですね。
こうして血小板を産生できる細胞へと成熟した巨核球は、細胞表面に突起ができてきます。
この突起に連続して、細胞分離膜という切り取り線のようなものができ、細胞質がばらばらにちぎれ、多数の血小板が産生されるのです。
血小板の調節機構は、血小板の数が少ないか多いかを感知し、調節がなされています。
血小板の産生が低下しているかどうかは、お母さん細胞である巨核球の数が正常よりも減っていないかどうかで、判断することができます。
巨核球の成熟には造血因子トロンボポエチンが重要な働きをしています。
体内では一定量のトロンボポエチンが作られており、血小板や巨核球の表面にあるトロンボポエチンレセプターに吸着されるようになっています。
吸着を免れたトロンボポエチンの量によって、造血を亢進するか否かが決定されているのです。
体内で、巨核球や血小板の数が多い時には、吸着量も多いためトロンボポエチンの血中濃度は低くなり造血は抑制されます。
反対に、巨核球や血小板の数が少ない時には、トロンボポエチン濃度は高くなるので、造血が亢進されます。
今回まで3回シリーズで紹介してきた、血液の小話も今回で一度終了となります。
また別の特集でお目にかかりたいと思います。