外来部門と薬剤科の関わり

20161024_phamacy_01
今回は、当院の外来部門と薬剤科(病院薬剤師)との関わりについてのお話しをしたいと思います。
ところで皆さん、『医薬分業』ってご存知ですか?
「あーあの“二度手間”なやつね!」と思われている方もおられるかもしれませんが、そのそも医薬分業とは、薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師、薬剤師という専門家が分担して行うことを意味しています。
ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世(1194~1250年)が毒殺を怖れて、主治医の処方した薬を別の者にチェックさせたのが始まりと伝えられています。
1240年には5ヵ条の法律(薬剤師大憲章)を定め、医師が薬局をもつことを禁じました。
これが医薬分業と薬剤師制度のルーツとされています。

医師は医学の専門家であり、薬物療法を熟知している半面、複数の薬を服用した際の相互作用や用量を増やした際に起こる副作用等の安全性については、薬という化学物質に精通している薬剤師のようには詳しくありません。
それでも、目の前の患者さんが複数の病気や症状に悩んでいれば、医師は3剤、4剤と処方する薬を増やして助けようとするのが道理です。
また、明治時代の開業医が診察料よりも薬剤料で生業を立てていたことも、過剰投薬と薬害を助長する土壌となりました。
医薬分業はたしかに“二度手間”ですが、その“二度手間”こそが患者さんの安全を守り、最小の薬剤で最大の効果を上げることで、薬剤費の適正化にも役立っているのです。<日本薬剤師会ホームページより一部抜粋>

当院も、平成5年(1993年)より医薬分業を取り入れていて、外来処方は院外処方としています。
ですから、外来患者さんのお薬の調剤はほぼ行っておらず、我々病院薬剤師は入院患者さんのお薬の調剤や服薬指導の仕事をメインに行っています。
しかし、外来部門でもお薬に関係する仕事は有ります。
その中で今回は、お薬の管理に関係する仕事についてお話しをします。

入院患者さんのお薬は、基本的にお医者さんが出した処方箋を元に薬剤師が調剤しないといけません。
当院は、24時間救急患者さんを受け入れているので、夜中でも外来患者さんのお薬を調剤しないといけない事があります。
しかし、一晩中薬剤師は居ませんし、調剤薬局も開いていません。
ではどうしているのか?と言うと、お医者さんの監督のもと看護師さんが調剤を行っています。
看護師さんは、薬剤師と違って普段から調剤の仕事はしていません。
ですから看護師さんでも間違わずに調剤が出来る様に少し工夫をしています。
具体的にどの様な工夫をしているかというと、救急患者さんに使用する可能性のあるお薬はリストアップされていて、お医者さんにはそのリストの中から処方を出すようにしてもらっています。
又、リストに載っている薬剤を充填した時間外専用薬剤カートも用意しています。
そして処方が出たら、その薬剤カートを使って看護師さんに調剤をしてもらっています。
そして必ず翌朝に、薬剤師がカートの中身をチェックして調剤間違いが無いかをチェックするようにしています。
では、実際に薬剤カートを担当してくれている薬剤師さんに詳しく聞いてみましょう。

Q)薬剤カートのチェックはどんな風にしているのですか?

毎日薬剤科に届く調剤済の処方箋と、薬剤カートの中の残薬を照らし合わせながらチェック表に記載します。
それからカート内の薬剤を使用した分だけ補充しています。

Q)チェックする際、気を付けている事は何かありますか?

滅多にはありませんが、想定外の患者さんが来られた場合には、カート内に無いお薬が処方される事があります。
その様な場合は、薬剤科までお薬を取りに行って調剤してもらっています。
その際は薬剤科への入出記録と共に持ち出したお薬の名前と数量を記録する決まりになっています。
ですが、盗難等の恐れもありますし、通常時間内の調剤で薬剤不足になると困るので、薬剤科内の定数チェックと発注を忘れないようにしています。

ありがとうございました。
他の施設では医薬品の盗難や紛失等も有ると聞きますので、今後もしっかりと薬剤師のチェック目を光らせておいてください。