前回は介護保険を使う訪問看護と医療保険を使う訪問看護について、簡単に説明しました。
今回はもっと身近に訪問看護を考えていただくために、よくある質問「いくらかかるの?」「どちらが安いの?」について説明させていただきます。
介護保険を使う訪問看護費
介護保険を使う場合はサービスに要する時間によって料金が変わります。
介護保険では1つのサービスを“単位”で計算しますが、1単位は10~12円で地域により異なります。
1回の料金は以下の通りとなりますが、ここでは分かりやすく1単位10円で計算してみましょう。
20分未満:310単位(3,100円)
30分未満:463単位(4,630円)
60分未満:814単位(8,140円)
60分以上:1117単位(11,170円)
介護保険サービスの負担割合が1割の方はその1割、2割の方はその2割をお支払いいただくことになります。
また事業所によってはサービス提供体制加算6単位(60円)がプラスされます。
その他にも初回加算300単位(3,000円)や、24時間対応してもらえる緊急時加算を付ける場合は月1回540単位(5,400円)、またカテーテルを留置していたり在宅酸素療法をされている方等には特別管理加算(月1回500単位または250単位)がかかります。
ちなみに緊急時加算を付け、月4回(週1回)60分未満のサービスを使われる場合は、540単位+814単位×4回=3796単位となり、1割負担の方でしたら1か月の料金は約4,000円となります。
ただし介護保険サービスの場合、認定された介護度により、1か月に使うことができる単位数が決められていますので注意が必要です。
介護保険サービスを使う場合は必ず担当ケアマネに相談してくださいね。
医療保険を使う訪問看護費
医療保険を使う場合、1回1時間30分未満のサービスで基本療養費は5,550~6,550円がかかります。
これに管理療養費(月の初日7,400円、2日目以降2,980円)が加わります。
1時間30分を越えると場合によっては長時間加算(5,200円)や事業所独自の延長料金がかかりますので注意してください。
医療保険の場合でも24時間対応してもらう場合は、24時間対応体制加算(5,400円)や24時間連絡体制加算(2,500円)が、またカテーテルを留置していたり在宅酸素療法をされている方等には特別管理加算(5,000円または2,500円)が月1回かかります。
その他にも医療保険の場合は事業所ごとに定めた交通費が請求されます。
介護保険同様に医療保険が1割負担の方はその1割、3割の方は3割をお支払いいただくことになりますが、医療保険の場合は高齢者医療制度などで上限額が定められています。
例えば70歳未満の方でしたら、一般所得世帯の場合、上限額は44,400円(所得により上限額は異なります)。
75歳以上になると年金を含めた一般所得世帯の上限額は12,000円、さらに非課税世帯では8,000円です。
この他にも特定疾患など指定難病の方では難病医療費助成制度があり、自己負担の上限額が所得により1,000円~20,000円となります。
つまり何回サービスを受けても決められた上限額を越えて医療費を請求されることはありません。
頻回に訪問が必要な方にとっては少しお得な感じがしますね。
また高額医療・介護合算制度というものがあり、医療費と介護費両方を併せた自己負担限度額を一定程度超過した場合に、超過分が返還されるしくみもあります。
詳しくは市(区)役所で尋ねてみて下さい。
医療保険の場合も24時間対応体制加算を付け、週1回1時間程度のサービスを使われる場合は、5,400円+(5,550円+7,400円)+(5,550円+2,980円)×3=43,940円となり、1割負担の方でしたら1か月の料金は約4,400円となります。
介護保険に比べると医療保険の方が少し高い感じがありますが、こうやって比べると同じ負担割合でしたら大きく変わりはありません。
ただ3割負担の方の場合は医療費の上限額も高く設定されていることが多く、訪問看護費の支払いも高額となり、経済的な負担は避けられないのが現状です。
お気軽にご相談ください!
各種加算はステーションの看護体制やご本人の状態、訪問する時間帯などの条件によっても異なり、訪問看護の料金は少々複雑です。
詳細につきましてはご利用される訪問看護ステーションにお問い合わせください。