日本では、40歳になると被保険者として介護保険に加入します。
65歳以上の人[第1号被保険者]は、市区町村から介護が必要だと認定された場合、いつでも介護保険サービスを受けることが可能です。(※40歳以上65歳未満の医療保険加入者[第2号被保険者]において指定されている特定疾病が原因で介護が必要だと認定された場合にもサービスを利用できます)
介護保険で利用できるサービスは、大きく分けて以下の6つに分類されます。
○自宅で利用するサービス
○自宅から通って利用するサービス
○生活環境を整えるためのサービス(福祉用具貸与 特定福祉用具販売 住宅改修)
○生活の場を自宅から移して利用するサービス
○介護予防のためのサービス
○計画をつくるサービス
今回は介護保険で利用できる福祉用具のサービスについて確認していきましょう。
介護保険で利用できる福祉用具のサービスは以下の2つに分類されます。
○福祉用具貸与 (レンタルするもの)
○特定福祉用具販売 (購入するもの)
※要介護度によって使用できる種目に制限がありますのでご注意下さい。
~介護保険で貸与(レンタル)できる福祉用具の対象種目~
【車いす】自走用標準型車いす、普通型電動車いす、又は介助用標準型車いす
【車いす付属品】クッション、電動補助装置等で、車いすと一体的に使用されるもの
【特殊寝台】サイドレールが取り付けてあるもの、又は取り付け可能なもので、次のいずれかの機能を有するもの
○背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能
○床板の高さが無段階に調整できる機能
【特殊寝台付属品】マットレス、サイドレール等で、特殊寝台と一体的に使用されるもの
【床ずれ防止用具】次のいずれかに該当するもの
○送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気マット
○水等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマット
【体位変換器】空気パッド等を身体の下に挿入することにより、居宅要介護者等の体位を容易に変換できる機能を有するもの
【手すり】取付けに際し工事を伴わないもの
【スロープ】段差解消のためのもので、取付けに際し工事を伴わないもの
【歩行器】歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するもので、次のいずれかに該当するもの
○車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を囲む把手等を有するもの
○四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの
【歩行補助つえ】松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホーム・クラッチ及び多点杖に限る
【認知症老人徘徊感知機器】認知症老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの
【移動用リフト※つり具の部分を除く】床走行式、固定式又は据置式であり、かつ、身体をつり上げ又は体重を支える構造を有するもので、その構造により、自力での移動が困難な者の移動を補助する機能を有するもの(取付けに住宅の改修を伴うものを除く)
【自動排泄処理装置】排便機能を有するもの、尿又は便が自動的に吸引されるものであり、かつ、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するもので、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に使用できるもの
※軽度者(要支援1・2、要介護1)の方は、車いす(付属品含む)、特殊寝台(付属品含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト、自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く)の利用は原則認められていません。
しかし、一定の条件に該当する方は、例外的に利用が認められることがありますので、介護支援専門員(ケアマネジャー)等に相談してみましょう。
~介護保険で購入できる福祉用具の対象種目~
【腰掛便座】次のいずれかに該当するものに限ります
○和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの
○洋式便器の上に置いて高さを補うもの
○電動式又はスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能のあるもの
○便座、バケツ等からなり、移動可能である便器
【自動排泄処理装置の交換可能部品】尿又は便が自動的に吸引されるもので居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に使用できるもの
【入浴補助用具】入浴に際しての座位の保持、浴槽への出入り等の補助を目的とする用具で、次のいずれかに該当するもの
○入浴用椅子(座面の高さが概ね35cm以上のもの)
○入浴台(浴槽の縁にかけて浴槽への出入りを容易にすることができるもの)
○浴槽用手すり(浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの)
○浴室内すのこ(浴室内に置いて浴室の床の段差解消を図ることができるもの)
○浴槽内椅子(浴槽内に置いて利用することができるもの)
○浴槽内すのこ(浴槽の中に置いて浴槽の底面の高さを補うもの)
○入浴用介助ベルト(身体に直接巻き付け使用するもので、介助を容易にするもの)
【簡易浴槽】 空気式又は折りたたみ式等で容易に移動できるもので、取水又は排水のために工事を伴わないもの
【移動用リフトのつり具部分】身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの
介護保険で利用できる福祉用具は、『要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象としている。』とされています。
つまり、貸与(レンタル)や購入できる商品が決められているということです。
歩行補助によく使用されているのを見かける歩行器についても、貸与(レンタル)の対象に認定されている商品とそうでない商品があります。
また都道府県の指定を受けていない事業者から購入したものは介護保険給付の対象とはなりません。
介護保険を利用して福祉用具のサービスを受けたい場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)等の助言を受けながら検討してくださいね。
適切な福祉用具を選択するには、使う人の身体に合っているか、身体に痛みが生じていないか、本人や介護者が無理なく操作できているか、安全に福祉用具を使用できる環境であるかなど、複合的に判断していく必要があります。
福祉用具の選択で悩まれている方は、当院のリハビリテーション科にご相談ください。
我々リハビリテーション科は、お一人お一人に合わせて生活を評価し、全力で皆様の“自分でできる”を応援します。
最後に、つぶやき・・・
2017年4月22日(土)に『第23回 高齢者や障がい者の快適な生活を提案する総合福祉展バリアフリー2017』に行っていきました。
バリアフリー展とは西日本最大級の介護・福祉・医療の総合見本市で、最新の製品展示や多彩な企画コーナーに加え、専門セミナーも多数開講されています。
車いすや杖、歩行器などの福祉用具はもちろん、福祉車両の展示や介護予防リハビリに用いる機械、嚥下食など沢山の企業や団体の方々が出展されています。
個人的にはかなり久しぶりで、最後に行ったのは10年くらい前かな…などと思い返しながら参加してみました。
10年前と比べると福祉用具も細かい機能性が改善されていたり、デザインがスタイリッシュになっていたりしていましたね。
また、私の記憶が正しければ、確か10年くらい前は大学の研究室が展示していた試作段階のロボットスーツが、今となっては製品化されて、かなりコンパクトになって展示されていました。
進化していますね。
私が作業療法士になったころ、職場の先輩に勉強になるからと勧められて、バリアフリー展にはよく参加したものです。
新しい情報を得て、また患者様に還元していけるように、足を運ぶことが大事だなぁ…と改めて感じた春でした。