当院では、食事の問題点を調査し、患者様の満足度を向上させるために食事に関するアンケートを行っています。
今回はそんな食事アンケート調査についてお話しようと思います。
アンケートは栄養士の臨地実習で学生さんがこられている時にあわせて行っています。
アンケートは栄養士が一人ひとりの患者様のお部屋にお伺いして直接お話を聞くようにしています。
アンケートの内容は以下のような感じです。
① 主食について(温度・味・量)
② おかずについて(温度・味・量・盛り付け・全体的な感想)
③ おいしいと思った食べ物(好きな食べ物)
④ 食べにくい、おいしくないと思った食べもの(嫌いな食べ物)
⑤ 朝食について
⑥ 食事全体に対する評価
⑦ その他ご意見
毎年アンケートをしていて意外だなと感じることがあります。
当院に入院中の患者様の平均年齢は80歳前後です。
私は、病院で働くまで80歳前後の方の好きな食べ物といえば魚やお寿司だと思っていたのですが、最近はご高齢の方でも「好きな食べ物は何ですか?」と聞くと「ステーキ!!」「すき焼き!!」と答える方が結構いらっしゃるので驚きです。(胃袋が若い!)
特に関西の方は肉=牛肉という認識の方が多いのか、豚肉や鶏肉を食べたいと答える方は少なく、肉が食べたいとおっしゃる方のほとんどは牛肉を食べたいとおっしゃいます。
もちろんお寿司も好きな食べ物ランキングは上位ですが、お肉も少なくはありません。
他にも好きな食べ物の話をしていると「○○のとんかつがおいしいよ」「神戸に行ったらこのお店がおススメやから一回いってみ」とお店の場所を教えてくださったりすることもあり、グルメな患者様が多いなぁとびっくりします。
逆に嫌いな食べ物でよく聞くのは、鶏肉(かしわ)やジャガイモです。
(私の感覚では)食べ物を嫌いになるのにはきっかけがあることが多いようで、嫌いな理由を聞くと患者様が子供のころのお話をしてくれることがあります。
「鶏肉は昔、家で鶏を飼っててね、それを屠殺するところを見ていたから食べられなくなったんよ」という理由をよく耳にしますし、「ジャガイモとかサツマイモは戦時中にずっと食べてたからイモはもう食べたくないねん」といわれたことも何度かありました。
(ちなみに私の祖父もイモは戦争を思い出すから食べたくないと言っていました。)
食べ物の好みは患者様の人生を少しだけ反映しているのかなとアンケートをとっていて感じます。
こんな風に当院ではお話できるすべての患者様からお話を聞かせていただいてご指摘やご要望を出来るだけ取り入れて食事改善ができるように努めています。
今年は野菜の味付けのレパートリーが少ないというご指摘が多かったので、改善できるように相談していきたいと思います。
患者様がシッカリ食べて元気に退院していただけるように、栄養科はアンケート調査を行っていますので今後ともご協力お願いいたします。
今回はアンケート調査に参加してもらった実習生から参加してみて感じたことを聞いてみました。
Tさん
「施設実習のときにアンケート調査をしたことがありました。
病院に入院中の患者様はもっと気分が落ち込んでいるのだろうと想像していましたが、きちんとお話できる方も多かったのが意外でした。
アンケート調査を行って、患者様の素直な意見を聞くことができ、良い機会になりました。
なぜ食べられないのかを知ることができれば、今後の食事内容にも反映させることができるので、アンケート調査は大切なものであると感じました。」
Fさん
「アンケート調査を行っておいしいという意見もあれば、おいしくないという意見もありました。
病態や嗜好は患者様それぞれで違っているため、すべての患者様に満足していただける献立を考えるのは難しい事だと感じました。
しかし、アンケート調査を行うことで、自分では気がつかなかったような問題点にも気がつくことができ、献立改善を行うためには大切なことだと思いました。
(例えば野菜の煮方が悪くやわらかくなり過ぎているという意見があり、煮かたや煮る時間を改善する必要があると感じました)
また、アンケート調査は患者様とのコミュニケーションをとれるということも良い点であると感じました。」
以上のような感想をもらいました。
病院実習で経験したことを、今後活かしてもらえるとうれしいです。
今回のアンケート結果に関して、食事全体の評価は
満足:15% やや満足:27% 普通:35% やや不満:15% 不満:9%
となりましたのでご報告します。
アンケート調査へのご協力ありがとうございました。