実習を終えたばかりの薬学部実習生さんとお話しをしました!(2017年度 第1期)

当薬剤科では、、臨床薬学教育にも積極的に取り組んでおり、現在行われている2か月半の病院実務実習が開始される前から薬学部の学生さんの教育実習を受け入れています。
現行のカリキュラムが開始されてからは、毎年3~4名程度の5年生(2006年度入学の学生より6年制となっています)の学生さんの実習を実施しています。
今回も、2か月半の実習を終えた二人の実習生さんと当院佐々山薬剤師とでゆっくりとお話しをさせていただいたのでご紹介させて頂きます。

佐々山薬剤師)
実習生Aさん、Bさん、長期間の実習お疲れさまでした。
今から少しだけお話しを聞かせて下さい。

実習前は、病院薬剤師という仕事にはどんなイメージを持っていましたか?

実習生A);薬学部5年生、女性
処方箋を見ながら調剤をして、入院患者さんのところに行って、薬の説明をして渡す人というイメージでした。
実習生B);薬学部5年生、女性
薬の管理や処方箋に基づいた調剤を行ったり、入院患者さんに配薬し服薬指導を行うという漠然としたイメージでした。

佐々山薬剤師)
お二人とも「服薬指導」と「配薬」というイメージが強かったみたいですね。

では、今回の実習でどんな事を学びたいと思っていましたか?

実習生A)
医師から出された処方を見て、どのような作用の薬が出されているのか、患者さんはどのような病態で何のためにその薬が出されているのかをある程度理解できるようになりたかったです。
また、薬によって患者さんの病気の症状が改善していくところを見たかったです。
実習生B)
病院薬剤師の業務や役割について学び、入院患者さんへの接し方を身に付けたいと考えていました。

佐々山薬剤師)
学校では、薬の事や病気の事やコミュニケーション方法は一通り習うと思いますが、実臨床での薬の使い方や副作用に関する事や、患者さんとのコミュニケーションについては実習でないと体験できませんね。

では、今回の実習ではどんな事を学べましたか?

実習生A)
実際に患者さんに出されている処方を見て、薬効がわからない薬を調べたりカルテを見たりして、患者さんがどんな病気なのか、なぜその薬が出されているのかを考えることができました。
また、学校ではチーム医療が大切だと習ってはいましたが、実際はそんなにチーム医療ができてないだろうと思っていました。
しかし、みどり病院では思っていたよりもチーム医療が進んでいるということを実感し、その大切さも学ぶことができました。
実習生B)
注射調剤では、多規格や類似名の医薬品が多くあり管理方法を工夫していることを知り、用法・用量や使用方法、併用に注意が必要な医薬品の監査の重要性について詳しく教えて頂きながら学ぶことができました。
高カロリー輸液の調製を行い、微量栄養素の大切さについて理解が深まりました。
病棟業務では、医療従事者間のコミュニケーションにより情報を共有することの重要性を知りました。
服薬指導では、はじめに情報収集を行い患者さんに応じた分かりやすい説明を行うこと、コミュニケーションでは、患者さんに興味を持って接することが大切だと学びました。
医師の講義では、CTやMRIの画像を見せてもらいながら治療法の適応や効果、副作用等丁寧に教えて頂きたくさんのことを学ぶ機会となりました。

佐々山薬剤師)
患者さんに服薬指導をする際には、病態の事まで考えながら指導をする事は薬剤師として当然です。
調剤薬局と違うところは、患者さんの状態を確認できる手段が多い事と、関係する医療従事者の種類が病院の方が多いという事でしょうか。
他の医療従事者とのコミュニケーションはとても大切で、一般的にはチーム医療という言葉で呼ばれています。
そのチーム医療に関してしっかりと学べたみたいですね。

それでは、今回の実習では、何が一番印象に残りましたか?

実習生A)
何度も同じ患者さんのところに配薬に行ったことです。
同じ患者さんのところに行くことによって、患者さんが今日は調子がいい、悪いなどの変化がわかったり、ステロイドが減量されていくところを見れたり、病気の症状が改善していくところを見ることができました。
また、退院されるときの患者さんの笑顔がとても素敵だったこともとても印象に残っています。
実習生B)
担当の患者さんを受け持たせて頂き、入院時から経過をみてきました。
カルテの検査データやお話しを伺う中で得られる症状や訴えから体調の変化をチェックしました。
新たな副作用症状が出た時は、その原因について検討し、メーカーに問い合わせたり、主治医に疑義照会を行い処方内容の変更をしてもらいました。
状態が良くなったと患者さんから感謝のお言葉を頂けた時は嬉しく印象に残っています。

佐々山薬剤師)

当院の実習中に大変だった事はありますか?

実習生A)
申し送りをするときの説明で上手く相手に伝えることが少し大変でした。
自分は何がどうなっているという状況がわかっていますが、申し送りをする相手は何もわからない状態なので、順を追って上手く説明しないと伝わりません。
実際に申し送りをした中で、もう少し上手く説明できないといけないなと思ったことが何度かありました。
実習生B)
疑義照会や申し送り等、他の医療従事者とのコミュニケーションは緊張し難しかったです。
カンファレンスでは専門用語が多く、内容を理解するのに時間がかかりました。

佐々山薬剤師)
やはり、良いコミュニケーションを取る事はとても難しいですね。
でも、AさんとBさんが頑張っている様子は当院スタッフ達にも伝わっていましたし、患者さんにもそれは伝わっていましたよ。

では、実際2か月半の長い実習を終えて、病院薬剤師のイメージは変わりましたか?

実習生A)
変わりました。
入院患者さんに薬を持って行くというところは同じですが、他職種の方と関わることが多いということはあまりイメージにありませんでした。
しかし、実際は他職種の方と情報を共有して、医療チームの一員として、薬の面で大きな役割を担っていることがわかりました。
実習生B)
医師と処方内容の決定を行ったり、医師や看護師から相談を受けている場面を見て、他の医療従事者との意見交換を多く行うイメージに変わりました。
入院中の患者さんは日々体調が変化しやすいため患者さんからより細かな情報を聞いて対応したり、製薬会社とコンタクトを取って患者さんのために常に新しい情報を得ていました。
病院薬剤師の役割の重要性と業務内容の多様性を感じました。

佐々山薬剤師)
先ほどもお話ししましたが、他の医療従事者とコミュニケーションを取る事は病院薬剤師の主な仕事と言っても良いくらい大切です。
いくら勉強が出来て知識が豊富な薬剤師でも、一人では患者さんのために十分な仕事は出来ません。
ましてやチーム医療はみんなの力を合わせる事が必要なので、コミュニケーションを取る事はとても大切です。

では、今後実習をするであろう薬学生の後輩に対して一言あれば、お願いします。

実習生A)
積極的に学ぼうとすれば、多くのことを学ばせてもらえる病院なので、いろいろ調べてわからないことや疑問点はたくさん質問していくといいと思います。
たくさんのことを学ぼうとすると、2ヶ月半はあっという間です。
実習生B)
病院職員の方も患者さんも、皆さんとても親切で何事にも丁寧にご指導して下さります。
実習期間内で、様々なことを実際に体験させてもらえます。
さらに他部署見学や勉強会など貴重な経験をすることができ、有意義な実習になることと思います。

佐々山薬剤師)

最後に、当院での実習に関して何か感想などがあれば教えて下さい。

実習生A)
2ヶ月半本当にお世話になりました。
初めての実習でとても緊張しましたが、とても楽しい実習生活を送ることができました。
とてもお忙しい中、薬剤師さんだけではなく、医師、看護師の方々にたくさんのことを教えていただき、ありがとうございました。
みどり病院で教わったことをしっかりこれからの勉強に活かしていきたいと思います。
実習生B)
実習が始まる前は不安な気持ちもありましたが、皆さんの丁寧なご指導の下多くの経験をさせて頂き充実した毎日を送ることができました。
大変お世話になりました。
ありがとうございました。

佐々山薬剤師)
お二人とも、お疲れ様でした。
毎日が勉強の連続で大変だったかと思いますが、本当によく頑張りましたね。
私も実際に病院薬剤師として毎日患者さんのために仕事をしていて大変ですが、それ以上の満足感があります。(無ければ続けられませんよね・・・。)
病院薬剤師とはこういう仕事です。
わかって頂けましたか?
もし、病院薬剤師として働く際には今回の実習の経験が必ず役立つと思います。
将来一緒に仕事をする機会があるかもしれませんね。
その時がとても楽しみです。
その時までしっかりと勉強を続けて下さい。