不整脈
心臓の拍動リズムが乱れることを不整脈と呼びます。不整脈になると、動悸がしたり、意識を失ったり、場合によっては脳梗塞や心不全になったりします。よって初めの症状が軽いからといって侮ってはいけない病気です。
不整脈の詳しい話をする前に、まずは心臓の正常な形と働きについてお話しします。
心臓の形と働き
心臓は4つの部屋で構成されています。上の部屋が2つ、下の部屋が2つです。上の部屋を心房、下の部屋を心室と呼びます。心房、心室ともに左と右があり、4つの部屋は左心房、左心室、右心房、右心室という名前がついています。これらの部屋は弁という、ふすまのようなもので区切られています(このふすまが壊れれば弁膜症という病気になります)。
心臓は規則正しく拍動して、血液を部屋から部屋に運び、大血管を通じて体全体に酸素や栄養分を供給します。この拍動は電気仕掛けになっており、心臓には刺激伝導路(洞結節、房室結節、ヒス束、プルキンエ線維など)という電線が張り巡らされています。この電線がショートしたり切れたりすると不整脈になります。
-不整脈の状態-
心臓の拍動が乱れると不整脈ですが、この不整脈を心臓の拍動数(脈)で表現するとわかりやすくなります。人間の脈は一分間に60-70前後であれば正常です。もっと大まかにいうと、一分間の脈が50-100の間に入っていれば大体OKです。この範囲を逸脱してくると不整脈の可能性が高くなります。
脈拍が50を割り込めば徐脈、100を超えれば頻脈です。極端な頻脈や徐脈では失神したり心不全を起こしたりしますので、緊急的な対応が必要となる場合もあり得ます。脈拍が50-100の間に入っていても、とびとびになっていれば期外収縮や心房細動などの不整脈の恐れがあります。これらの場合、脈拍数が落ち着いていれば、緊急的な対応が必要となることは少ないです。しかしながら、将来的にいろいろな問題を引き起こしてくることがありますので脈が乱れている場合は不整脈診療をしている病院で診察をうけることが望ましいです。
-不整脈の症状-
ドキドキと動悸がする、脈が飛ぶ(結滞)、などの代表的なものの他に、息切れ、めまい、胸苦しい、胸痛、意識を失うなどの症状も不整脈の症状で認めることがあります。
突然ドキドキと動悸が始まり、しばらく持続して、突然もとの状態に戻るようなことがあれば心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍などの不整脈が原因のことがあります。
一瞬だけドキッとする、胸が一時的に詰まるなどの症状は期外収縮によることが多いです。期外収縮は大きな問題になることが少ない不整脈ですが、出現頻度が多い場合や、もともとの心臓の状態が悪い方に出現する期外収縮は注意が必要です。
息切れや胸苦しい症状は心不全の症状でもあり得ます。不整脈が長時間持続することによって、心機能が悪くなり心不全となって症状に現れることもあります。
めまいや意識を失うことがある場合は、心拍数が40以下の極端な徐脈や、4秒以上心臓の拍動が停止している場合に見られることがあります。このような徐脈性不整脈は洞不全症候群や房室ブロックといったものがあります。ひどい徐脈で脳血流が低下することによっておこるものです。反対に頻脈性心房細動や心室頻拍などで心拍数が早すぎて心臓が空打ち状態になっても脳血流が低下し、同じ症状となります。心室細動では突然意識を失い、心肺停止から突然死をすることもあります。
上記のような症状のあるかたは、不整脈診療をしている循環器内科を受診されることをお勧めします。みどり病院では月曜午前にお越しいただければ私がお話を聞かせていただき、必要に応じて詳しい検査、治療をいたします。
(副院長/不整脈センター長 足立和正)