ホルター心電図って?動悸(不整脈)や胸痛(狭心症など)の原因精査に24時間心電図検査

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新学期や新年度になると学校や職場の健診で心電図の検査をする機会があります。
そこで何らかの異常の指摘を受けた事がきっかけとなり、来院されたり、ご自身で動悸や息切れ、胸痛を感じられて外来受診された場合にまず安静時12誘導心電図の検査をします。
5分程で終わり、痛みもない簡単な検査ですが、いろいろな情報を得る事ができます。
ただ、安静時のその瞬間の情報が主となる為に、時々動悸があったり、胸が重かったなど訴え通りの心電図波形をその時に記録する事が不可能な場合もあります。
そこで有用な検査がホルター心電図検査です。
ホルター心電計と呼ばれる手のひらサイズの携帯型心電計にて24時間の心電図波形を記録する事により、動悸や胸痛の原因となる不整脈や狭心症(不安定狭心症・労作性狭心症)の有無を調べます。
取り付けは10分程度で、入浴・シャワーなど(水濡れ防止)意外は通常通りの生活が可能です。
つまり、来院時に症状がでなくとも、24時間の間に症状があれば記録可能となります。

先日も午前中に動悸が激しく、息切れや胸痛もあるという患者様が来院され、安静時12誘導心電図検査をされましたが正常波形のみの記録しか得る事ができませんでした。
そのため、診察終了後にホルター心電計を装着して帰って頂きました。
翌日取り外しに来られ、『やっぱり午前中に症状あったわ』と、皆様にお願いして書いて頂いている行動記録用紙にも”動悸・息切れ・胸痛”との記載あり、解析をしていくと、取り付けから翌朝の9時頃までは上室性機外収縮が時々見られるのみであったのが、症状の出た頃からは、発作性上室性頻拍や発作性心房細動が40分程度ににわたり記録できていました。
また別の日の解析では、全くの無症状なのにも関わらず、数秒(2秒〜5秒)脈が止まっているのが2000回近く見られました。
洞不全症候群で、徐脈と頻脈とをくりかえしていました。
この患者さまも安静時12誘導心電図では確定診断はついていませんでした。

めまいや失神の原因精査のために検査を受けられる場合もあります。
聴診をしても大動脈狭窄や左室流出路狭窄がないのにも関わらず、失神を来す病態のなかに、アダムス・ストークス症候群があります。
一過性に心停止になったり、心室細動などの危険な不整脈により、心臓から脳へ充分に血液が送られない事による脳の低酸素状態によるもので、脳虚血による失神は、通常数分以内に意識が回復しますが、もしも回復が遅れれば突然死を免れない場合もあります。
①上室頻拍や心室頻拍または心室細動などの頻脈性不整脈
②洞不全症候群や房室ブロックなどの徐脈性不整脈
③心房細動・心房粗動による高度頻脈
などがアダムストークス症候群の原因になりうる病態で、ホルター心電図検査で診断可能となります。

みどり病院では、ホルター心電図検査の取り付けから解析まで院内の検査室で行っており、早ければ取り外した翌日に結果をお知らせできます。
また、検査技師が解析を行った後に解析結果をアブレーションなども手がけられる循環器内科医が診断しています。
すぐに治療が必要な不整脈や狭心症があっても全くの無症状であったり、一日に数回の機外収縮(通常のリズム意外でのリズムでの脈拍)を重く感じられる場合など、症状は人それぞれなので、何かしら症状や異常の指摘を受けられた方はホルター心電図検査をしてみられると原因が判明するかもしれません。
検査の結果、必要な場合には、院内でペースメーカーの植え込み術やカテーテルアブレーションなどの治療が可能です。