動悸•息切れ•浮腫の症状での心エコー検査


日々の暮らしの中で動悸や息切れ、または身体の浮腫みを感じられている方は少なくないと思います。
みどり病院には心臓弁膜症センターがあり、循環器関連の病気の方もたくさん来られています。
最近はインターネットを見て来ましたとの声も聞かれます。
「最近動悸が…」「息切れが…」
「食べる量は然程変わってないのに体重が増えて…」
等の症状で来院されて心エコー検査に回って来られる外来患者さんもしばしばです。

我々検査技師は、依頼目的や患者さんの情報を得る為にカルテに目を通した上で、検査室で患者さんから直接お話を聞き、心音を聴かせてもらい、更には脈圧等を確認させてもらいます。
身体所見をしっかり取る事で検査の精度が確実に向上します。

動悸の場合

心臓が原因で起きる動悸には、不整脈・心臓弁膜症・先天性心疾患などがあげられます。
心臓以外の原因で起きる動悸には、貧血・発熱・甲状腺機能亢進症・慢性肺疾患・精神的要因などがあります。
心エコー検査により心臓に原因があるのか、それ以外の理由なのかの鑑別ができます。
もしも、心臓が理由で動悸が起きているならば、その疾患の重症度も調べていきます。

動悸を感じる不整脈の中でも特に高齢者に多いのが心房細動です。
(特に60歳を境にその頻度は高くなり、80歳以上では約10人に1人は心房細動があると言われています)
心房細動は心不全や循環不全を誘発しやすく、 呼吸困難・浮腫・全身倦怠感などの症状が出たり、循環不全によるめまいや失神が起こったりします。

また塞栓症にも注意が必要となります。
心房細動になると、左心房内に血栓ができやすくなり、それが心臓から脳へとつながる動脈に流れて行き、細い血管に詰まると脳梗塞を起こします。
そのため心房細動の患者さんは左心房内の血栓も念入りに確認させてもらっています。
(残念ながら通常の心エコーでの血栓の評価には限界があり、心房細動の治療法の一つであるカテーテルアブレーションの前には、左心房や左心耳内の血栓の有無の評価などを、経食道エコー検査により行っています)

心房細動の原因には心房の線維化や内膜の異常、左心房が大きくなる事など諸説あります。
心エコー検査では、左心房の大きさも縦横前後で立体的な容量を測ることができます。

左心房容積を量ることにより検査時に心房細動でなくても近い将来に心房細動になりうるとの予測もできるのです。

その他にも収縮能評価のEF(駆出率)に始まり拡張能の指標となるべく左室流入波形や、SV(一回拍出量)、IVC(下大静脈の呼吸性変動)など色々な項目を計測する事により心機能評価を行っています。
左心房の計測の重要性としては・・・
左心房が、大きくなることに伴い僧帽弁(左心房と左心室の間の房室弁)の締まりが悪くなり僧帽弁逆流を生じることもあります。
症状の悪化に伴い左心房圧が上昇→肺循環を経由して右室圧が上昇→右室負荷を生じることから三尖弁輪が拡大して機能的三尖弁逆流を生ずると言う場合もありえます。
心機能評価は左心室・左心房だけでなく、右心室・右心房の測定、評価も非常に重要で、下肢や顔面の浮腫がある場合に、その理由が三尖弁逆流によるものか否かも心エコー検査で分かるのです。

また、我々技師が検査し作成したレポートを、室生院長にレビューしてもらい(時には再測定をすることもあります)、患者さんの状態を的確に評価できた最終レポートが依頼元へ返されています。
循環器系の入院・外来患者さんの治療を内科的にするのか、外科的な介入が必要になるのかを心臓血管外科医、循環器内科医、検査技師合同カンファレスでも検討されています、
そこに同席させてもらい、エコーの結果・ラボデータを共に観覧します。
患者さんの臨床状態や今後の治療がわかり、知識の向上につながっています。

火曜日・金曜日の院長レビュー、月曜日の術前カンファレンス、木曜日の心臓血管外科医、循環器内科医、検査技師合同カンファレスの連日盛りだくさんの知識が得られます!!!