特殊な心エコー検査

負荷心エコー検査とは

病院を訪れられる患者さんは、当然のことながら何らかの症状があって来院される方が多く、またその症状の出方には、大きく分けて二通りあります。

症状①:普段じっとしている時(安静時)には何も感じず、坂道を上る時や重い荷物を運ぶ時など、体に負担となることをしている時(労作時)に症状が出るもの。
症状②:患者さんが、じっとしてても常に症状があるもの。

具体的に症状①とは、普段はどうもないけれど坂道や階段を上ると、息が切れる、胸が痛む、胸が重苦しくなる、胸がドキドキする等です。
これらは患者さんがよく訴えられる症状で、そういう患者さんに対しては、体に負担になることをしていただき、その状態で心エコー検査を行います。
これを負荷心エコー検査といい、具体的にはフィットネスクラブにあるような、自転車のような器具(自転車エルゴメータ)を漕いでもらったり、ルームランナーのような器具(トレッドミル)の上を走ってもらったりして、体に負担(負荷)をかけた上で心エコー検査をします。 
患者さんが運動している時、もしくは運動直後に負荷心エコー検査を行い、安静時に比べて心臓がどう変化しているかを調べます。
運動負荷心エコー検査では、その患者さんに負荷をかけることで、心機能や弁の機能がどの程度まで変化するのか、更に心臓がどの程度の運動に耐えうるかが分かり、安静時のみの心エコー検査からは得られない情報を得ることができます。
更に運動負荷心エコー検査中に何らかの症状が出ていた場合には、その原因に、心臓の何が関与しているのかを特定できることもあり、非常に有用な検査と言えます。
以上、運動負荷心エコー検査についての説明をしましたが、運動の代わりに、心不全の治療に使うドブタミン(強心剤)という注射薬を点滴しながら心エコー検査を行う、ドブタミン負荷心エコー検査(薬物負荷心エコー)も目的に応じて、使い分けて実施しています。

20161109_examination_01
運動負荷心エコーに用いるトレッドミルと心エコー装置

みどり病院では

普段はどうもないけれど坂道や階段を上ると、胸が痛む、胸が重苦しくなるような症状は労作性狭心症でよく見られる症状で、そのような患者さんにトレッドミルを用いた、負荷心エコー検査を受けていただいています。
具体的にはトレッドミル上を歩くような速さから初めて、2分から3分間隔で段階的にスピードを速め、更にトレッドミルの傾斜(坂)をきつくし、最終的には小走りから全力疾走に近いスピードまで運動していただき(個々の患者さんで運動の程度は異なります)、運動負荷前後に心エコーを実施し、心機能に変化がないかを評価します。
心エコーに加えて負荷前、負荷中、負荷後を通じて心電図と血圧、更に血液中の酸素の量をモニターし、負荷中の患者さんの変化にも対応できる、安全な検査を実施しています。
また、みどり病院の特徴である弁膜症診療では、弁膜症患者さんが手術の必要性があるかどうかの判断や手術時期の決定にも、運動負荷心エコーやドブタミン負荷心エコー検査を活用しています。