心エコーと身体所見
①心不全で救急搬送・・・
みどり病院検査室での超音波検査は基本的には予約検査となっていますが、患者様の状態に応じて予約の方優先ではありますが、随時検査を受けています。
全国的に心不全が蔓延し、心不全パンデミックとも言われている昨今、心不全等で救急搬送され、心エコー検査の依頼を受ける事もちょくちょくあります。
ほとんどの場合は食事が取れなくなり浮腫、息切れを伴い仰臥位で休めない・・・・
そんな時は救急外来にエコー機器を運びストレッチャー上でギャッジアップしたままで検査をします。
聴診器はもちろん必須アイテム‼︎
搬送された患者さんの所に着く
→先ず頸静脈の観察です。
エコー機器の電源を入れ検査ができるようになるまでの1分程の待ち時間で心電図モニターをつけながら頸静脈を観察!
CVP(中心静脈圧)が高いか否かを確認します。
CVP:右心房に入る血液の圧で右心系の状態の把握、うっ血性心不全の診断に役立ちます。つぎに
→心音を聴きます。
Ⅲ音Ⅳ音の有無、Ⅱ音の分裂は?
ⅡP亢進はあるか?
検査前のほんの少しの時間が非常に重要です。
頸静脈は怒張し、Ⅲ音聴取
ならば…
心エコーでは、その確認として左室流入波形(LV inflowの)パターン
IVCの張り、左房圧、拍出量など補足的に計測します。
ⅡP亢進していたならば…
肺高血圧がある可能性を考え、あれば右室圧の測定をします。
つまり、身体所見の確認をしていきます。
検査が終わる頃には、BNP値も判明しCHFの所見が全て揃う事になります。
身体所見を確実かつ迅速にとるかは、検査時間の短縮にも繋がります。
みなさん、日々の検査の前に身体所見とられていますか?…
みどり病院検室では、患者さんにご協力をお願いして、心不全や弁膜症の方などの心音図データを記録させて頂き、また身体所見を撮影させて頂く事があります。
日々の検査で得られる心音データ、頸静脈や頸動脈、心尖拍動図などの動画は検査室だけに留まらず、毎年1月に開催している循環器physical examination 講習会の教材としても活用させて頂いています。
実際の患者さんから得られた生のデータは非常に有用です。
なぜならば、全て本物の音、VTRだからです。
入院が必要な状態から内科的または外科的治療により改善して行く過程を提示することで、多くの学びが期待できます。
手術前後、心不全の治療前後の検査は不可欠ですが、ビデオ撮影などにも快く応じて下さる患者さまにも感謝の気持ちでいっぱいです。
2019流行語大賞は「ONE TEAM 」
医療の現場でもまさしくTEAMが大切です。
患者さまとも1つとなり、より良い医療が提供できることを願っています。
我々検査技師一人一人が、みどり病院の中だけに止まらず全国にphysical examinationの大切さを発信できるTEAM の一員として、益々日々の仕事にやり甲斐を感じながら楽しく検査をしています。
今年度の循環器physical examination 講習会は2020年、1月19日(土)、20日(日)の2日間の開催です。