膵臓疾患の超音波像 腹部超音波検査Vol.6 ~膵臓編~

今回膵臓についてお話します。

膵臓は、胃の裏側にある厚さ2cmほどのピストル型の臓器です。膵臓は導管を通して膵液を分泌する外分泌機能とインスリンやグルカゴンなどを分泌する内分泌機能があります。

膵液に含まれる消化酵素

消化酵素分解物質
トリプシノゲン・キモトリプシノゲン・エステラーゼタンパク質
リパーゼ・ホスホリパーゼA脂肪
アミラーゼ糖質

次は膵臓の代表的な疾患を紹介します。

慢性膵炎(chronic pancreatitis)

膵の内部に不規則な線維化、細胞浸潤、実質の脱落、肉芽組織などの慢性変化を生じ、進行すると膵の外分泌機能や内分泌機能の低下を伴う病態を言います。病因としては、アルコール性がもっとも多く、次いで特発性(原因のわからない)、胆石性などがあります。男性ではアルコール性が多く、女性では特発性の頻度が多くなっています。
臨床所見として初期(代償期)では、腹痛、背部痛、食欲不振、体重減少、悪心、嘔吐、脂肪便などが認められますが、進行し非代償期になると腹痛は見られなくなることが多いです。
血液検査ではアミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1などの上昇が認められます。

浸潤性膵管癌(carcinoma of the pancreas)

膵癌は膵に原発した上皮性の悪性腫瘍で、病理組織学的に膵管癌、腺房細胞癌、島細胞癌などに分類されますが、約90%は膵管上皮から発生する膵管癌です。通常、膵癌という場合には浸潤性膵管癌をさすことが多いです。
膵癌は発生部位から膵頭部癌、膵体尾部癌、膵全体癌に分けられますが、約2/3は膵頭部癌です。
臨床所見としては、上腹部痛、背部痛、体重減少、食欲不振が認められます。
血液検査では、CA19-9やDUPAN-2が上昇することが多いです。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

粘液産生による膵管の拡張を特徴とする膵管上皮に発生する腫瘍です。
①主膵管の著明な拡張をきたす主膵管型
②膵管の2次分枝以下が拡張している分枝型
③両方にまたがる混合型
に分類されます。
高齢男性の膵頭部に好発し、病理組織学的には腺腫と癌があります。
主膵管型では悪性の頻度が高く、70~80%は癌です。分枝型では癌の頻度は20~25%となっています。

膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)

膵漿液性嚢胞腫瘍は膵漿液性嚢胞腺腫と膵漿液性嚢胞腺癌に分類されます。膵漿液性嚢胞腺癌はきわめて稀です。膵漿液性嚢胞腺腫は中年女性に多く、膵体尾部に好発します。
膵漿液性嚢胞腺腫は、径数mm大までの多数の嚢胞が蜂の巣状に集簇した腫瘍で、通常良性で、悪性可はきわめてまれです。肉眼形態分類では5型に分類されます。
Microcystic type 1cm以下の微小嚢胞が蜂の巣状に集簇するタイプ
Macrocystic type 1cmを超える大きな嚢胞の集簇するタイプ
Mixed type  micro型macro型が混合したタイプ
Solid type  非常に微細な嚢胞からなり、超音波では嚢胞様に見えないタイプ
Unilocular type  一個の大きな嚢胞からなるタイプ

粘液性嚢胞腫瘍(MCN)

中年女性に多く、膵の体尾部に好発します。
膵粘液性嚢胞腺腫は、被膜を伴う比較的大きな単房、または多房性の腫瘍、嚢胞内は粘液で満たされていることが多いです。嚢胞内の壁に、しばしば乳頭状増殖を認め、悪性化の頻度が高いです。

超音波検査で見つかるいくつかの膵疾患について紹介させてもらいました。
超音波検査では被曝の心配なく、患者さんの症状についてお話を聞きながら検査を行うことができますが、体位変換や呼吸のコントロールなど患者さんの協力が不可欠になります。また膵臓は胃の真裏にある臓器のため、胃の空気の影響により、描出が困難になることがあるので、患者さんにお水を飲んでもらい描出能を上げる方法をとることがあります。みどり病院検査室に来られる皆様、早期発見早期治療に向けた「検査の質を深める連携プレー」、よろしくお願いいたします。