腹部超音波検査 Vol.1 「みえやすくする工夫~食事・呼吸・体位変換・圧迫~」

腹部の超音波検査を受けることになったけど、いったい何がわかるの?とか、この前検査を受けたけど、息を吸ったり吐いたり、はたまたあっちむいたりこっちむいたり大変だったけど、なんか悪いところがあったのだろうか?と不安に思ったりしていませんか?
今回は、腹部エコーで何を調べているのか、また、検査中に息を吸ったり吐いたりするのはなぜなのかを簡単に解説してみようと思います。

何を調べているのかな?

腹部エコー検査では、主に肝臓、胆嚢(胆管)、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、男性なら前立腺、女性なら子宮や卵巣、腹部の大血管や消化管などの異常がないかを調べています。

例えば・・・

肝臓脂肪肝 慢性肝炎 肝血管腫 肝細胞癌
胆嚢胆嚢結石 胆嚢ポリープ 胆嚢腺筋腫症 胆嚢癌
膵臓急性膵炎 慢性膵炎 IPMN 膵臓癌
脾臓脾腫 脾腫瘍
腎臓慢性腎炎 腎結石 水腎症 腎血管筋脂肪腫 腎細胞癌
前立腺前立腺肥大 前立腺癌
子宮子宮筋腫 子宮内膜症
卵巣卵巣嚢腫
消化管感染性腸炎 虫垂炎 大腸癌

などなど、様々なことがわかります。

超音波検査の利点
超音波検査は、非侵襲的で被爆の心配もなく、必要に応じて反復して実施できるため経過観察に適しています。
またCTやMRIと違い、リアルタイムに動きを捉えることが出来るため、消化管の動きや、可動性の有無などをみることが出来ます。

超音波検査の欠点
脂肪や消化管ガスなどの条件によっては適切な画像が得られないことがあります。
そう、超音波は脂肪による減衰(超音波が奥まで届かないこと)や消化管や肺のガスが邪魔してみたいところがみられない...(ノД`)・゜・。
なんとかして目的の臓器をみたい!そこで、患者さんには次に記載のご協力をお願いしたいのです。

食事
食事をすると、消化管内のガスが増え、目的の臓器が見えづらくなります。
また、消化液を貯めている胆嚢は食事をすると委縮して、中の様子が見えにくくなります。
最低でも6時間の絶食が望ましいとされています。

呼吸
息を吸うことによって、横隔膜が下がり、臓器の位置が移動します。
通常はお腹を膨らませて息を吸い込んでもらう腹式呼吸をお願いすることが多いですが、その方の状態によっては胸式呼吸をお願いしたり、また、逆にめいっぱい息を吐いていただくこともあります。
苦しくなったら呼吸をしていただいて構いません。

体位変換
消化管のある場所から臓器を移動させるため、体の向きを変えて頂きます。
はじめは仰向けから、左をむいて寝ていただくことが多いです。
それでもみえない場合は、右をむいたり、腰をひねったり、上半身を起こして座っていただくこともあります。

圧迫
見たい臓器にプローブをなるべく近づける、消化管のガスを追い出したい。
そのような理由から、ぎゅーっと抑えることがあるかと思います。
その場合は声掛けをして行うようにしています。
痛いときは圧迫を緩めますので、遠慮無くおっしゃって下さい。

このように、呼吸や体位変換によってみえてくる画像が変わってきます。
どうして息を吸ったり吐いたりするのか、体の向きを変える必要があるのかわかっていただけたでしょうか?
よりよい検査のためにできる限り一緒にがんばっていただけると助かります。
また、少しでも不安なく、検査を受けていただけると幸いです。