はじめに。
世界規模で新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が起きている昨今、感染を防ぐことが難しい状況にいつなるとも限りません。
そこで気になるのは、やっぱり健康のこと。
基礎疾患の有無、既往歴、喫煙?。。。症状の重さには個人差があるようです。
もし、感染を疑ったら?
PCR検査や抗体検査をすることになるでしょう。
前回は、急遽、臨床検査技師と関係のある検査(PCR検査)の話題をお届けしました。
今回は、腸の腹部超音波検査最終回、便秘の腸について。
COVID-19感染流行の2020年。
腸は免疫を司る器官。便秘は免疫力にも影響しちゃうんです!
そもそも便秘になると、お腹が張って 痛くなったり。すっきりしない残便感に悩んだり。。。
決して、気分のいいものではありませんよね。
腹部超音波画像はどうみえる? 知ってください。便秘のこと、腸のこと。
“便は体調を知るためのバロメーター”
便とは。
上部消化管で消化できなかった食物繊維や腸内細菌の死骸の集まりと言われています。
腸壁には、数百種類・約1000兆個の細菌が常在しているんだそう。
腸内細菌は、私たちの体重の1~2kgを占めているって・・・すごいな。。
消化された食べ物はミックスジュースのように、とろみのある液状です。
液状の方が小腸で栄養分を吸収しやすいからです。
栄養分を吸収された残りは、大腸でさらに水分を吸収されます。
こうして体外へ排泄される頃には固形の便ができあがるのですね。
もし・・・
小腸や大腸の状態がよくないと、下痢や便秘になってしまいます。
下痢…糞便に含まれる水分量が増加して(80%以上)泥状や液状で排泄される状態。
便秘…糞便中の水分量が少なく(70%以下)4日以上排便のない状態。
腸の健康には腸内細菌のバランスも関係しています。
ゆえに、便は体調を知るためのバロメーター。
腸内環境がよいと、もちろん快便!
理想の便はバナナの形、しかも軽くて水に浮くらしい!?
腸内細菌叢が善玉菌優勢になると、腸内環境は整います。
栄養の分解・吸収が活発に行われ、内容物が腸にとどまる時間が短くなります。
そうすると、
排泄時、便は適度にガスと水分を含んだ理想的な硬さになるのです。
元気な大腸の超音波画像
内容物は不均一で、繊維を思わせる微細な点状高エコーと
水分の多い低エコーが適度に混ざっているように思われます。
大粒の高エコー(矢印)は、腸内細菌が内容物を分解したときに産生するガスを考えます。
ガス(空気)は超音波を通さないので、ガスが多いとその先は見えませんが、おならとして余分なガスが排出されると、超音波が届いて対極の腸管壁まで見えますね。
適度な水分とガスが含まれた軟らかく軽そうな便ができあがっています。
便秘になると・・・
便は排泄されずに大腸に溜まっていくばかり。
便秘の大腸 超音波画像その1
元気な大腸のときと比べてみましょう。
内容物は、きめ細かく綿密でギュッとくっついて硬そうな印象です。
溜まった内容物は線維質で、超音波は深くまで届きにくく、ガスも停滞しているのか、画像の下半分は描出できませんでした。
便秘の原因はそれぞれ。
小食・偏食。
下剤や浣腸の誤用・乱用、度重なる我慢で、排便反射が起こりにくくなったり。
長期間の寝たきり、腹筋の衰え、腸管の蠕動運動の低下。
副交感神経の過剰な緊張による内容物の停滞。。。など
大腸のはたらきは水分の吸収です。
大腸に停滞して、なかなか排泄されない内容物からは、
どんどん水分が吸収されていきます。
水分を失った便はカチカチになって、さらに排便が困難になります。
便秘の大腸 超音波画像その2
こちらも便秘の超音波画像。両方同じ画像です。
便秘その1と比べてみましょう。
その1の内容物は、きめ細かく綿密な印象でしたが、その2は腸壁に接している内容物の輝度が上昇していて、表面がより白く見えます。
これは、内容物が大腸に長期間停滞し水分が吸収されすぎたことが考えられ、その1よりも、内容物と後方陰影との境界がはっきりしています。
このことから、その2の方が、便の水分量が少なくて硬そうであると想像できるのです。
便秘が少しでも早く改善されますように。。。
便秘が続くと、精神的にはもちろん、身体にも様々な悪影響が及ぶと言われています。
たとえば。
大腸に内容物が長期間停滞することで、腸内細菌の構成が変化します。
腸内細菌の変化は、私たちの免疫力にも大きく影響するので注意が必要です。
便秘の大腸は、悪玉菌が増殖して優勢な状態です。
腸の動きが弱る、内容物の運搬が滞る、水分が奪われる、便秘は進行し、悪循環。
さらに増殖した悪玉菌は、内容物中のタンパク質やアミノ酸を腐敗させます。
そのときに産生されたガスや有害物質が、腸壁から体内へと取込まれると、血液を通じて、口臭や体臭の原因になってしまうらしく、一大事。
体臭も困りますが、長期間同じ場所に便があると、大腸がんのリスクが高くなることも報告されています。
病気ではないけれど。
便秘。百害あって一利なし。
めざせ快便!腸内環境を整えよう!
便秘改善のためにできること
元気な大腸では、代表的な善玉菌 ビフィズス菌が優勢で、
人間の体内では合成できない栄養素を作るなど、私たちの健康を支えてくれています。
便秘対策!
食事からはじめましょう。
- 質のいい油(DHA,EPA)を摂りましょう。
青魚に多いとされ、腸では潤滑剤の役割を果たしてくれます。 - カルシウム、マグネシウムで便秘ケアを。
ひじきや大豆に含まれており、腸のはたらきを助けます。 - ビタミンAで感染症予防!
カボチャやニンジン、レバーに多く、腸の粘膜を強くします。
粘膜が強化されることで感染症予防にも効果が期待できます。
つめたいものを控えて、あたたかいものを摂るように、
また朝ごはんを少しでも食べるよう心掛けると、1日の腸内リズムが安定しやすく、
免疫力を上げることにもつながるそうですよ。
いまだに世間を賑わすCOVID-19
自粛の2020年も半年以上が過ぎました。
感染が終息するまでにはしばらくかかりそうな雰囲気ですね。
自分と家族、大切な人たちを守るために、便秘と決別しましょう。
腸から元気になりましょう!
冬には、たくさんの人と同じ食卓で、おいしいを共有できますように。