脳梗塞の原因は心臓に!?加齢とともに増える心房細動について

検査科

心臓は全身に血液を循環させるポンプの働きをしている重要な臓器です。
私たちが休んでいる間にも心臓は絶え間なく動き、心拍出(心臓から血液を送り出す)を繰り返しています。数にすると1日に約10万回、一生の間には約40億回以上拍動していると言われています。
その背景には規則正しい電気刺激の発生と伝導が関わっており、このメカニズムに異常が起こると『不整脈』が発生します。

一言に『不整脈』と言っても沢山の種類がありその症状は様々です。

刺激の発生部位(心房性・心室性)
心拍数(頻脈・徐脈)
発生の時間的要素(発作性・持続性)などによって分類されます。

今回は高齢者に多いとされる『心房細動』について、症状や治療法などを紹介したいと思います。

心房細動を知る上でまずは心臓が拍動するメカニズムを簡単に説明させていただきます。
心臓には刺激伝導系(特殊心筋とも呼びます)と呼ばれる心臓の収縮を管理する筋肉が存在します。これらの心筋が規則正しく刺激を送り、それに合わせて心臓の心房や心室も収縮や拡張を繰り返し拍動することで血液を体に循環させるのです。

心房細動(atrial fibrillation)とは?

心房細動では、洞結節でないところからも電気が発生し、電気刺激がうまく伝わらずに心臓の心房と呼ばれる場所が痙攣し不規則に動いてしまう状態です。

ここで正常の心電図と心房細動の心電図を比較してみます。

~正常の心電図~

青い矢印で示したところが心拍数を表しています。
赤い丸は洞結節から電気刺激が発生したことを表し、その刺激が心房・心室に伝わり規則正しい心拍出を行います。その結果、安定した心拍数を保ち全身に十分な血液を送り出すことができます。

~心房細動の心電図~

心房細動の心電図では青い矢印の間隔がバラバラなことが分かります。
赤い矢印で示したように電気刺激が沢山発生するためうまく伝わらず、心臓は安定した心拍数が保てません。心房細動になると心臓が拍出する血液量が20~30%減少するとされています。

心房細動は発症したからといってすぐに命に関わるような病気ではありませんが、血液の流れが悪くなり血栓を作りやすくなります。そのため、心房細動は心原性脳塞栓症(脳梗塞)の主たるリスク要因と言われています。
脳梗塞を発症すると寝たきりになったり、歩行障害失語症など生活するうえで重度の機能障害が残りQOLいわゆる『生活の質』の低下に繋がってしまうため決して放置してはいけないのです。
心房細動により引き起こされる病気は脳梗塞のほかにも、心臓のポンプ機能が低下するため、体を動かしたときに息切れを感じやすくなるなどの心不全症状が出てくることもあります。

続いて、心房細動の治療についてお話したいと思います。
心房細動の治療は大きく分けて3つ方法があります。

①薬物療法
心房細動のまま心拍数を調節するレートコントロールや、
心房細動を正常化させ規則正しくなるようにするリズムコントロールなどを行います。
それに加えて、血栓予防のために血液を固まりにくくするための抗凝固薬も一緒に処方されることが多いです。
しかし、薬での治療は心房細動を根治するための治療ではないため、継続して服用する必要があります。

②カテーテルアブレーション
心房細動の原因となっている異常な電気刺激を取り除く治療法です。
カテーテルと呼ばれる細い管を太ももの付け根や肩、首の血管から挿入し心臓の中に通し、異常な電気を発生させている箇所をレーザーで焼灼することで不整脈を根治させる治療方法です。
治療を行う際の傷も比較的小さく、体への負担も軽い治療となり入院期間も短いと言われています。ただし、1年以上の慢性的な心房細動に対してはカテーテルアブレーションの効果に限界があるようです。

③外科的治療(メイズ手術)
メイズ手術とは全身麻酔をかけ胸を開いて、体外循環を用いて心臓を停止させた状態で異常な電気刺激を発生させなくするための手術です。
胸を開ける必要があり、カテーテルアブレーションと比較すると体への負担はありますが、長期の心房細動に関してのリズム回復効果は外科的メイズ手術のほうが高いと考えられています。
最近では心房細動の治療だけで行われることは少なく、弁膜症など他の心臓疾患に対し手術が必要な患者さんに対し行われることが多いです。ですが、①,②の治療を行っているにも関わらず効果が出ずに軽い脳梗塞や心不全を繰り返すような場合は外科的メイズ手術の対象となります。

治療は可能な限り低侵襲であることが望ましく、まずは薬物治療、そしてカテーテルアブレーション、最後に外科的メイズ手術の順番になります。

症状の有る方は勿論ですが、健康診断などで心房細動を指摘されているけれど、自覚症状がないため病院に罹っていない方は定期的なフォローを行うことをお勧めします。

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