初めての全国学会発表!~地元姫路にて~【日本心エコー図学会第35回学術集会】

検査科

2024年4月19~21日にアクリエ姫路(姫路市文化コンベンションセンター)で開催された「日本心エコー図学会第35回学術集会」に演者として参加してきました。

みどり病院からは医師2名、臨床検査技師3名が参加しました。こちらの記事もご参照ください。
https://midori-hp.or.jp/valvulardiseasecenter-blog/180426_29echocardiography-2-2-2/

私は臨床検査技師4年目で、心エコー図検査を始めて2年ほどが経ちました。今回初めて全国学会に参加したので、準備から発表当日のことについてお話ししたいと思います。

まず、学会に参加するには抄録を提出する必要があります。抄録とは、発表したい演題について限られた文字数の中で簡潔に発表内容をまとめたものです。
限られた文字数の中で発表の要旨を詰め込むのは難しく、最初に作成した抄録は既定の文字数をはるかにオーバーしていました。そこから何度も先生や先輩に添削していただき、どうにか期限内に演題登録することができました。演題登録をすると、後日演題の採択結果がメールで送られてきます。採択されないこともあるのかと思っていましたが…

結果は「ポスター発表に採択」でした。
例年の先輩方の発表は口演(壇上に上がってマイクで発表)で、ポスター発表というセッションがあることを知らず、自分も口演になると思って心の準備をしていたので、結果に驚きました。

続いて当日の発表で使うポスターの作製です。
まずは発表する症例の病態を調べ、弁膜症治療ガイドラインを見直し、同じような症例の論文を読んで情報収集をしました。病態と合わない所見があれば、なぜこの症状、エコー所見になるのか、循環器内科の先生方や先輩方とディスカッションしました。
口演になると思い込んでいたので、エコーの画像や手術の動画をたくさん用意していましたが、ポスター発表では動画は載せられませんし、載せられる画像の数も限られてきます。

私の発表は、「ペースメーカーリード起因性重症三尖弁逆流に対する三尖弁形成術後7年の経過を観察し得た1例」という演題名で、手術後の経過がメインだったので、手術後の心エコー図検査のデータをグラフにまとめ、本当に見せたい情報だけを切り出してポスターを作成しました。ポスターも何度も先生に見ていただき、ブラッシュアップを重ねて完成させました。

1枚目の写真は、ペースメーカーリードにより高度な三尖弁逆流が起こっている手術前の画像です。これにより足のむくみなどの症状があり、心不全を繰り返していました。
2枚目の写真は手術後で、逆流がほとんどなくなり、心不全や症状は改善し、術後7年経過した現在も症状なく通院されています。

学会初日は、先輩2人の発表を見るため昼から参加しました。先輩方もポスター発表で、たくさんの人に囲まれながらでもすらすらと発表し、質問にも堂々と答えていてさすがだなと思いました。

学会2日目、ついに自分の発表です。この日も昼から参加し、自分の発表まではドキドキしながらも、美味しいお弁当を食べながら企業のセミナーや一般演題を聴講しました。珍しい症例や新しいエコーの指標など、自分の知識だけでは理解が追い付かないこともたくさんあり、これからの勉強のモチベーションアップにつながりました。

私はポスターセッションの最後の発表者でした。前の人の発表が終わるにつれて緊張がマックスに!!
割とすらすら話せたものの、オーディエンスのほうは一切見ずに発表を終えました。座長の齋藤先生(喜多医師会病院)からは「ペースメーカーリードによる三尖弁逆流は日常臨床でもよく目にする症例だが、外科手術後でこれほど良好な経過を追える症例はなかなかない」と嬉しいお言葉を頂き、無事発表を終えました。

今回の会場は、兵庫県姫路市に2021年にできたアクリエ姫路という会場でした。私は姫路市出身で、この会場には初めて行きましたが、姫路駅から近く、見慣れた景色で全国学会に来た実感があまり湧きませんでした。

昨年の会場は岐阜県、一昨年は鳥取県と、新幹線で開催地に行って現地のホテルに泊まり、ご当地グルメを食べてお土産買って…という楽しみがありましたが、姫路は西明石駅から電車で20分、お土産も買わず、ホテルではなく実家に帰り、非日常を味わえず少し残念な気持ちでした。今思えば、住み慣れた土地で迷子になることもなく、実家で安心して寝ることができて、私の全国学会デビューにはよかったのかなと思います。

全国学会で発表するという経験はなかなかできないことだと思います。他施設の症例発表や研究結果を見ることもとても勉強になりましたが、自分の発表に間違いがないように情報収集をすることが一番勉強になりました。また今回の発表を通して、まだ情報の少ない術後経過についてまとめ、記録していくこと、術後の経過を長く見ていく中で、どんなエコーパラメーターが重要であるかを考察していくことも大切な業務の一つだと実感しました。

来年名古屋で開催される学会に向けて、これからも心エコー検査の経験を積み、学んでいきたいと思います。