
2025年4月18日~20日に名古屋コンベンションホールで開催された日本心エコー図学会第36回学術集会に演者として参加しました。
みどり病院からは臨床検査技師2名が症例発表のため参加しました。下記の記事もご参照ください。
https://midori-hp.or.jp/examination-blog/180426_29echocardiography-2-2-2-2/
また室生理事長が永年にわたり心エコー図法の普及と発展に貢献したことが高く評価され、功労会員として表彰されました。下記の記事もご参照ください。
https://midori-hp.or.jp/valvulardiseasecenter-blog/20210525-4-2-2-2-2-2-2-2-5-2-2-2-2/
今回初めて全国学会で発表しましたので、当日の出来事や心情をお話しようと思います。
私は「奇妙なⅡ音分裂とReverse Rivero-Carvallo徴候を呈した右室原発心臓血管腫」という演題で、聴診所見にて正常とは異なる心音を聴取し、心エコー図検査を実施したところ心臓内に腫瘍を認めた症例について発表しました。

こちらの写真は右心室の中に腫瘍が認められる画像になります。矢印で示しているところに腫瘍があります。
この腫瘍が原因で2種類の正常とは異なる心音が聴取されました。
1. 収縮期雑音が呼気時に増強し、吸気時に減弱していました(Reverse Rivero-Carvallo徴候)。
腫瘍が右室流出路にあることにより、狭窄が起きて収縮期雑音が発生していました。しかし、吸気時に胸腔内圧がより陰圧になり、右室流出路が拡張することで狭窄が緩和され、収縮期雑音が減弱していました。
2.Ⅱ音が呼気時に分裂し、吸気時に単一になっていました。
通常、Ⅱ音は吸気時に分裂し、呼気時に単一になります。しかし、この症例では呼気時に右室流出路に狭窄が起き、右室の駆出時間が長くなることで肺動脈弁の閉じるタイミングが遅れることによりⅡ音が分裂していました。
また、吸気時に狭窄が緩和されⅡ音が単一になっていました。
この患者さんは症状がなく、定期受診の際に聴診で心音の異常を指摘されたことをきっかけに、心エコー図検査を行って腫瘍の発見につながりました。

こちらの写真は1枚目で見られた腫瘍が手術で切除された後の画像になります。切除されたことにより、正常な心音になりました。
1日目
初日の16時頃から発表だったため、昼頃に名古屋駅に到着しました。名古屋駅でお昼ご飯を食べて、会場に向かい、発表までの時間、他の方の発表を聴いていると、私も同じように発表できるかな…と不安と緊張でいっぱいでした。
そして私の発表の時間になりました。初めての全国学会ということもありとても緊張し、オーディエンスの方を見ることができず、パソコンと資料を見ながらの発表になりました。
最後に座長の先生から「心音を契機に見つかった血管腫という大変貴重な症例をありがとうございました。」といったお言葉をいただき、無事に発表を終えることができました。
今後このような学会発表をする機会があるかと思います。
発表では、当院で検査した心エコー図画像をオーディエンスに見せるため、一目で何が異常かわかる画像が必要になります。そのため、普段の検査から誰が見てもわかるようなエコー画像をとっていきたいと思いました。

2日目
前日とは打って変わって気楽な気持ちで、全国から集まった貴重な症例発表を聴く事ができました。
また、ランチョンセミナーに行き、心アミロイドーシスについて学びました。

ランチョンセミナーとは、医療機器メーカーなどが学会に共催したセッションです。お弁当が出るのでご飯を食べながら聴くことができます。心アミロイドーシスは私自身まだ検査した経験があまりないので、今後そのような患者さんが検査に来たときに対応できるようにしていきたいと思いました。
3日目
現在、みどり病院では心房細動などのアブレーション治療を積極的に行っていますので、毎日のように不整脈の患者さんが来院され、心エコー図検査を行っているので、より深く知っておくべきだと思い、心房細動についてのセッションに参加しました。
セッションでは心房細動発症に関する危険因子や、アブレーション治療後の左房機能の指標について学びました。私も現在、当院の心房細動臨床研究に関わっていますので、今後に役立てていきたいです。
今回は初めて全国学会での発表といった貴重な経験をさせていただきました。
これからもより知識を深めていき、心エコー図検査の腕を磨いていくためにたくさん学んでいきたいと思います。