賞与が支払われる前と後~金額だけがすべてではない~

総務課

唐突ですが、皆さんは賞与を受け取ったらどういう使い道を考えていますか?
コツコツと貯金・自分にご褒美として旅行や食事・ショッピングなど、いろいろな使い道があると思います。また今後の仕事に対するモチベーションをあげる重要な源でもあります。
賞与と聞くと手取り金額がいくらになるのかを気になりがちですが、支払うまでの事務処理の過程と支払後の手続きも重要なことなので、今回は賞与が支払われる前と後の手続きについて、お伝えしようと思います。

①賞与と給与の違い

給与は、労働基準法第24条により、毎月1回以上決まった日に支払う義務があると定められていますが、法律で賞与を支払う義務は定められていません。賞与を誰にいくら支払うのかは、企業が自由に決定できます。ただし、賞与の支給条件などを就業規則や労働契約などで規定している場合は、支払う義務が生じます。つまり、賞与が支払われることは当たり前ではないということです。

賞与とは、「労働の対償」であり「三月を超える期間ごとに」支払われるものです。ただし、年4回以上支給される賞与は、社会保険料の計算上は「報酬」として扱われます。

②賞与の査定・評価方法

賞与の支給時期と回数も企業が自由に決められますが、夏季と冬季(年末)に2回支給している企業が大半を占めています。ちなみにみどり病院の夏季賞与の査定期間は11/16~翌年5/15、冬季賞与は5/16~11/15となっています。

原則として賞与は、算定期間における従業員の勤務成績などに従って支給額が決定されることから、算定期間中やその直後に退職する従業員の扱いをどうするのか、就業規則などで定めておくことが必要です。傾向としては、賞与支給日に在籍している従業員に賞与を支給する、つまり、算定期間中に在籍していても支給日に退職している場合は支給されないなどと就業規則に記載するのが一般的です。

賞与額の計算方法には、大きく「給与連動型」と「業績連動型」があります。給与連動型は、「給与○ヵ月分」など基本額に対して一律で数ヵ月分を乗じる計算方法で、従来は一般的な方法でした。しかし近年、成果主義へと移行する企業の大半が「業績連動型」を採用する傾向にあります。

業績連動型では、まず経常利益や営業利益などの企業業績に従って、全従業員に支払う賞与総額(賞与原資)を決定します。それから、査定などに基づいて賞与総額を配分し、それぞれの従業員に支払う個別賞与額を決定します。

賞与算定期間における各従業員の勤務成績に対して査定をし、評価によって賞与額は変わってきます。査定における評価要素には、大きく次のものがあります。

・業績:結果としての成果
・行動:成果を出すための具体的な行動
・能力:保有する能力

みどり病院では、上の3つの評価査定に個別目標を加えた人事考課表を作成しており賞与査定を行う際の基準としています。人事考課表を職員に配布し記入終了後、各部署の所属長が職員に一人ずつ面接を行い、最終査定は事務局が行うという賞与査定・評価の流れになっています。

③賞与支払後の手続き~賞与支払届の提出~

賞与から引かれるものの一つに社会保険料があります。保険料を決定するため、健康保険・厚生年金保険の被保険者である従業員に賞与を支給する場合、企業は支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を年金事務所に提出しなければなりません。
提出の流れとしては以下の通りです。

  1. 賞与支払予定月を登録
  2. 日本年金機構より賞与支払届が送付される
  3. 「標準賞与額」と保険料を算出
  4. 賞与支払届を作成
  5. 賞与支払届を賞与支給日から5日以内に、管轄の年金事務所に提出
    ※ 賞与の支払が無かった場合は賞与不支給報告書の提出が必要です。

④賞与の豆知識

ちなみに夏と冬のボーナスの起源は江戸時代が始まりとされています。夏季賞与の起源は、盆の薮入り(住み込みの丁稚等が実家へ帰省できるお休みのこと)に丁稚・手代に支給されたお小遣い、お仕着せ(奉公人に支給される着物のこと)、年末賞与の起源は江戸時代に商家で働く丁稚・手代(番頭と丁稚の間にいる使用人で商家奉行人の身分の一つ)に支給された正月の餅代と言われています。

まとめ

賞与の支払には職員に対する公平な査定・評価を行うために、細かいチェックが行われます。
人事考課の評価には職員一人一人がその期間にどれだけ目標に対して取り組めたかなど、重要な情報が含まれているため、他の人に漏えい等がないよう厳重に保管することが求められます。

また、勤怠チェックの漏れは特に賞与支払い金額に大きく影響するため、より丁寧に細かいチェックが必要となります。そういう事務処理を丁寧かつ正確に進めてこそ、無事賞与の支払が行われます。少しでも多くの人に知っていただきたいと思います。

参考サイト
賞与(ボーナス)とは|保険料、所得税の算出方法や平均相場 – 『日本の人事部』 (jinjibu.jp)
ボーナスの仕組みってどうなってる?平均支給額や支払い基準を解説! (hoken-room.jp)
ボーナスの起源は江戸時代?!夏と年末それぞれに起源があった! | 節約社長 (setsuyaku.ceo)