気持ちよく過ごして頂くために

コロナが5類になり数ヶ月が経ちましたが、皆様の生活はどうお変わりになりましたでしょうか?

 

私は先日久しぶりに母の病院の付き添いで、A病院に行きました。

そして、いつも通り1階で受付をし、2階へ。

いつも採血があるので採血室の受付へ行きました。

ん? 病院内の景色に違和感が…。

受付回りが異様にスッキリしています。

A病院はコロナが5類に移行したという事で、受付回りのアクリル板や飛沫シート等を

撤去していたのです。

その日は眼鏡を掛けていなかったのでハッキリ見えませんでしたが、かなり開放的な感じにさえ思う程でした。

私が医療事務の仕事を始めて15年程経ちますが、仕事を始めた頃から3年くらい前までは、

アクリル板や飛沫シートなんてありませんでしたし、無いのが当たり前でした。

しかし、コロナが流行しだしてからは、コンビニやスーパー、銀行・飲食店等でもアクリル板や飛沫シートがあって当たり前になっていたので、

無いのが不自然に思えるくらいでした。

たった3年で、以前の当たり前が、当たり前で無くなるんだなと思いました。

 

しかし、母はその光景に気づく事も無く、毎回のミッションである、採血・採尿を済ませ、待っている私の横にちょこんと座りました。

私は『歳をとると、こういう事は気づかないのだな~』と思いながら恒例の孫・ひ孫の近況を母に聞かせたり、

写真を見せたりで、診察の順番を待っていました。

 

その日は私達の前の席にも、私達と同年代の親子の方が座っていました。

お母さんと息子さんでした。

その息子さんはお母さんに、テレビで見たニュースの話や食べ物の話、ご近所さんの話等、待ち時間を飽きさせないようにずっと話しかけていました。

お母さんの方は返事をしているだけという感じで、でも何か言いたそうな感じでした。

私は、男の人なのに、お母さんを退屈させない様に色々話し掛けているのだな、優しい息子さんでお母さんも嬉しいだろなと思いながら、

自分の母の診察を待っていました。

 

その親子の会話に耳を傾けていた時に、そのお母さんが息子さんに

「トイレに行って来て良い?」と聞きました。

息子さんは間髪入れずに

「お母さん、トイレはもうちょっとだけ我慢して。」と答えました。

私は、『え!』とびっくりました。手押し車で高齢とあって、トイレに行くにも時間が掛かるし、

そう言うからには、本当にトイレに行きたいだろうし…とあれこれ考えていると

息子さんが「お母さん、前にもお母さんがトイレに行った時に診察室から呼ばれて、順番が遅くなった事があったでしょ、だからちょっとだけ我慢して」

と続けて言いました。

なるほど!確かにそんな事があったらそう言いたくなるのも分かるような気もします。

私達が来た時には、その親子はもう待合に居たので、私達より長い間待っていたため、

息子さんの発言も仕方ない様な、でも我慢するのも辛いだろうなと思っていた時に、

私達が先に診察に呼ばれました。

その途端、息子さんは、すぐに呼ばれる心配がなくなったので、

「お母さん、トイレに行って来て良いよ」と母親に声をかけました。

お母さんは、手押し車を押しながらトイレに行く事が出来ました。

後から来た私達が先に診察に呼ばれたのは申し訳無いけど、そのお母さんが無事にトイレに行くことができて、ちょっとホッとしました。

 

みどり病院でも、親子で診察にお越しになられる患者さんもいらっしゃいます。

この親子のやり取り(呼ばれる時間を気にして何かを我慢する)の様な事があるのではと思うと、

せめて会計はお待たせする事が無いようにしたいなと思います。

先日、私が休憩に行く途中に、当院にお父さんと娘さんで受診に来られている患者さんに玄関の前で会いました。

「こんにちは」と挨拶をした時に、母の病院での出来事を思い出し、お昼も回っていたので、

「遅くなってしまってすいません」と声を掛けると、

娘さんは「いえいえ、以前より会計も早く呼んで頂いていますよ、ありがとうございます」とおっしゃいました。

そして娘さんが「お昼に近い予約時間にしているのは、病院の帰りに、父と一緒にお昼を食べて帰れるから」とお話してくださいました。

私達職員への有難いお言葉と、お父様を大事にされていることを、スッと言葉に出せる、

とても素敵な娘さんとお話が出来て嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

 

当院では飛沫シート越しで待合の患者さんのお顔が少し見え辛いですが、目配りや気配り、お声かけをして、

みどり病院に来て良かったと思って頂けるよう、これからも業務に励んで行きたいと思います。

コロナ前のように、飛沫シートがなく直接患者様の素敵な笑顔を見てお話できるようになる日を楽しみにしています。