農業と医療②

医事課

毎日暑い日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
毎年毎年、最高気温が更新され、今年も本当に暑い夏になりました。
7月から最低気温が高く、寝苦しい夜が続いたり、
日中もうだるような暑さに、熱中症患者さんも後を絶ちません。
『異常気象』を肌で感じ、戦々恐々の毎日です。

さて、その異常気象、ただ暑いというだけでなく我々の生活にも色々な影響を及ぼしています。
「お米」です。
正確に言うと、お米だけではありません。
野菜も果物も、天候不順の影響で出荷が減ったために価格上昇し、
スーパーなどでびっくりするような値段で売られている光景は日常茶飯事となりました。
そしてお米も…
スーパーの棚にお米がなくなり、10㎏のお米は販売されておらず、
5㎏のお米すら「一家庭に2袋まで‼」と張り紙されている有様です。
令和の米騒動が起こるのでは⁉と危惧しているのは私だけではないと思います。
6月にお送りした「農業と医療」の記事のなかで
田植えのお手伝いをさせてもらった話をお届けしましたが、
その苗たち、元気に育っているのかとても気になったので尋ねたところ…
「育っているが収穫量は減っている、原因は雑草がたくさん生えるうえに、水不足」
という返事が‼
他にも要因はありますが、我が子同然(私には親戚の子くらい?)の苗たちが、
そんなに苦しい思いをしているなんて‼
心が痛むと同時に、これはなんとかせねば!でも、どうやって⁉
と考えていたところ、その知り合いからある動画が送られてきました。
それは、籾種に土壌改良菌を混ぜて栽培するというものでした。
しかも、乾いた土地にそのまま蒔いて、あとは水やり不要という、
今までの田植えのイメージを覆す驚く内容でした。
動画の中では、カピカピに乾いてひび割れた土地から、稲がふさふさと生えており
私の知っている田んぼとはかけ離れた光景が映し出されていました。
もう、びっくりです。
農業の世界も、これからどんどん変わる気候や世界情勢などに合わせて、
進化していかなければならないのです。
拘りを捨てなければ生き残れない、それはつまり生産者が減り、生産量が減り、
最終的に増々我々の生活を脅かすことに直結します。
こんな、素晴らしい方法があるなら、なぜ皆やらないのか⁉
素人の新たな疑問です。
答えは、やはり、収穫に至るまでは大変だということです。
土地を整える必要があるとのこと…
何事も専門知識と手間をかけた準備が大切ということですね。

医療の世界も然り。
病院を建てたからと言って、すぐに医療が提供できるわけではありません。
機材などを揃え、それを扱う人が集い、
何より、医療人としての志を持って命に臨まなければ、良い医療はできません。
医学も日々進歩しており、時には拘りや常識を捨てて
新たな技術を習得しなければならないこともあります。
目の前の命を救うために、瞬時の判断が必要とされることもあります。
日々準備を怠らず、貪欲に知識を得なければ、
最良の選択が、咄嗟にできないこともあるかと思います。
我々、医事課スタッフは医療行為そのものをしないので、そんな準備は不要かというと
もちろん、そうではありません
以前もお話したように、患者さんが病院に入って出ていくまでが一つの治療です。
笑顔でのお迎え、待合の患者さんの様子に気配り心配りをすることや、
正確・迅速な会計…
私たちは私たちの、知識と準備を整えて『みどり病院』の医療人として、
努力し続けなければ、良い医療の一環にはなれないのです。

農業も医療も終わりがなく、綿々と続いていきます。
もちろん一人一人の治療は完結しても、世の中の病気やケガは完全になくなることは
恐らくありません。
その季節の稲刈りが終わっても、新たな田植えが始まります。
次の時代へ技術を、そして命を繋ぐため、絶やすことの出来ない事業です。
農業の代わり、医療の代わりはありません。
その時の最良が選べるように、全力で取り組めるように、
しっかりと未来を見据えて、日々の業務に取り組みたいと思います。

スーパーで空っぽになっている、お米の棚を睨みながら、
お米の代用はどうしようかと悩みつつ、
やっぱり、農業と医療って同じだな!と考える今日この頃です。
次は、自分でお米を育ててみましょうか?
医療にも活かせる新たな気付きを得られるかも知れないですね。