消費税アップと医療

2020年がやってまいりました。
明けましておめでとうございます。
みどり病院事務局・医事課の菊地です。
今年はいよいよ東京オリンピックが開催されます。滝川クリステルさんの“お・も・て・な・し”が流行語大賞にもなり日本中が歓喜に沸いてから早6年。
色々な競技の内定者も発表され、期待が膨らんでまいりますが、オリンピック開催でもう一つ期待されるものと言えばその経済効果が挙げられると思います。
経済効果は30兆円と予測され、活性化・好転するもの、逆に冷え込みを見せるものなど、様々な記事や報道を目にする機会も増えました。日本人選手の結果同様、これらの成果に対しても国民の関心の高さが伺えます。

そして経済と言えば、2019年10月、日本の消費税率が8%から10%に引き上げられました。全ての国民は消費者という立場であることからも、ニュースや報道で増税はその視点から評価されることが多いですが、今回は生産者又は事業者の立場から見た増税の報道が気になりました。では生産者又は事業者から見た今回の増税はどのようなものなのか。そのキーワードとなるのが『軽減税率制度』でした。消費者から見れば単なる増税が、生産者又は事業者の立場から見ると、軽減税率制度の影響で増税+αの影響を受けている業界も数多くあります。その代表が食品業界でしょう。生活必需品とされる飲食料品はこれまで通り8%の税率が、酒類、外食などには10%の税率がかかることで、まず価格の表示方法で頭を悩ますでしょう。また、販売職員の研修や経理業務にも影響を及ぼし、様々な場面で「対応」の為の時間を要するでしょう。つまりこれまで以上に人件費を要するという事です。そう考えると、増税の2%という数字は、生産者又は事業者の立場からは数字以上の影響があったのではないかと思います。

食品業界ではその変化が顕著に現れました。
では、医療業界、特に病院では今回の増税でどのような影響があったのでしょうか。またそこに通院する患者様にはどのような影響があったのでしょうか。『医療は非課税だから影響はないのでは?』そう考えられた方も多くいることでしょう。しかし、実際には病院にも、そこに通院する患者様にも影響が及んでいます。

まず病院についてですが、病院が患者様に医療を提供するには薬が必要です。包帯が必要です。そして手術道具が必要です。病院において医療を提供するという事は、技術や知識はもちろんのこと、その他にも様々なツールが必要となります。ではそのツールはどのように調達しているのか。それはもちろんお金を支払って購入しています。つまり消費者として各メーカーから購入しているのです。そこには当然10%の税金がかかります。
しかし、反対に病院が受け取る医療費は非課税ですので、増税2%分を上乗せして患者様に請求することはできません。では2%の増税分は全て病院が負担するのでしょうか。

答えはNoです。この2%の負担が全て病院に掛からないように「診療報酬改定」があります。保険医療においては、医療費というものは日本全国で価格(点数)が統一されています。厚生労働省により一つ一つの医療行為に価格(点数)が決められていて、患者様が支払う医療費はその決められた価格(点数)によって決まります。
そしてその価格の改定がこの度行われ、代表的なものとして初診料においては+60円(6点)、再診料では+10円(1点)されました。つまり、2%とはいかないまでも、患者様の支払う医療費は60円の3割負担で18円、10円の3割負担で3円増となったわけです。
患者様の中には「いつもと同じ(診察内容)やのに、金額が違うなぁ」と会計時に言われる方もいます。
この改定が病院に、又は患者様に大きな影響を与えるものかどうかは、一概には言えませんが、一般に非課税と言われる医療業界にも増税の影響は及んでいること、そしてその影響は患者様の医療費にも波及していることを知っていただければ幸いです。
昨今上がり続ける日本の医療費を含め、オリンピック同様、今後の医療制度の変革からも目が離せませんね。

文責:菊地