退職にあたって
私が「みどり保育園」に入職させて頂いてから約6年が過ぎました。
私自身、母親が看護師であり、母の勤務する病院の託児所に1歳ごろからお世話になっていたこともあり、かねてより院内保育園には興味があり、就職を希望しました。
みどり保育園の特色として、24時間保育、年中無休、夜勤保育があります。
入職1年目は保育への疑問が多く、慣れない連勤や夜勤、いつ帰れるか分からない残業等の忙しさからそれらを未消化のまま、目まぐるしく過ぎて行ったことが印象的です。
自分なりに少しずつペースをつかめるようになるまで大変時間がかかり、職員の皆さんには多大なるご迷惑とお世話をおかけしました。
その中で、自分なりにですが、様々なことが見えるようになり、みどり保育園の良さを発見し始めました。
みどり保育園では登園時、保護者の方を送り出す時は子どもと一緒に「いってらっしゃ~い」。
降園時は「おかえりなさい」と挨拶をします。
これはみどり保育園が第二の家庭であり、子どもにとっても保護者にとっても安心できるよりどころである、なんて暖かな言葉なんだろうと、以前一般の私立保育園に勤めていた私にはとても印象的でした。
立派な園舎と園庭があり、病院の施設自体とは少し距離はありますが、毎年恒例のバザーの際には、保護者の方はもちろん、病院職員の皆さんからの商品の提供や準備、当日の手伝い等、長年培ってきた協力体制があり、心の面での繋がりの強さも感じました。
関連施設の老健「みどりの丘」の秋祭りでは園児たちによる歌の発表を行った年もありました。
知らない場所で知らない大勢の人たちの前で発表するという経験を普段したことのない子どもたちだったので、ドキドキしてかたまってしまったり、恥ずかしかったり、頑張ったり、様々な姿を見せてくれました。
お母さんを見つけて泣いてしまう子もいましたが、それも含めて、ありのままの可愛い姿を多くの方にご覧頂く貴重な経験となりました。
日常の保育として、小規模であるということもあり、ひとりひとりの子どもと濃く深い関わりを持つことができると思います。
子どもの小さな変化や発見、成長を職員同士で共有できます。
みんなで子どもの姿を見ながら笑ったり喜んだり一緒に悩んだりすることが、ここ数年できるようになり、日々充実した生活を送る中で本当に保育が楽しくなっていきました。
大規模保育園では見守り援助を行うような子どもの行為も、「みどり保育園」ではやりとりの中で心情を聞き出しながら対応することが可能でした。
それ故の自我の強さも見られますが、安心して自分のありのままの欲求や要求をぶつけられる保育士が身近におり、自分の話をしっかり聞いて対応してくれたという経験は子どもたちの大きな糧となるでしょう。
大がかりな運動会や生活発表会等はありませんが、毎月の誕生会や季節の行事は保護者の方にも参観、参加して頂けます。
普段の生活からの延長のようなアットホームな雰囲気の中、子どもたちもリラックスした表情も見られます。
特に子どもたちは自分の誕生会を今か今かと楽しみにしており、保育士手作りの冠をかぶり、カードとプレゼントを持った誇らしい顔を見るたびに、その子の小さかった頃を思い出し、成長を感じて尊く思います。
人間相手の正解のない保育の世界で7年、日々手探りで、心身のバランスを崩して途方に暮れて辞めたくなったことも数え切れませんが、みどり保育園に行くのが嫌だった日はありません。
みどり保育園に行くと可愛い子どもたちがおり、笑顔も泣き顔も、その日その瞬間しか見られないありのままの子どもの姿に対峙できるみどり保育園が大好きでした。
子どもたちがいたから私は保育士になれ、職員の皆さんや保護者の方に支えられてここまで続けることができた6年間でした。
いま、感謝の気持ちでいっぱいです。
ここでの経験を生かし、新たな環境になっても、保育の仕事は続けていきたいと思っています。
6年間ありがとうございました。