脱水症は、早めの対処と予防が大切です。
スポーツ時の発汗だけではなく、気温や乾燥など、さまざまな要因によって、季節に関係なく起こりうる症状と言われています。
脱水症は、体液が不足している状態です。
体に含まれている水を「体液」と呼びます。
体液は体の60%を占める水分とミネラル(電解質)、タンパク質などで構成され、生命維持に関わるさまざまな役割を果たしています。
脱水症は、何らかの要因により体内の水分とミネラルの一つであるナトリウム(塩)が不足している状態を指します。
脱水の種類は水分・ナトリウムの損失に関係して大きく二つに分けられます。
一つ目は低張性脱水です。
水分と一緒に血液中のナトリウムが不足してしまう状態のことで、だるさや吐き気、けいれんなどの症状が現れます。長時間のスポーツなど、発汗をともなう際に発症しやすいです。
二つ目は高張性脱水です。
体内の水分が不足する状態のことで、発熱や、激しい口渇状態、意識混濁なども起こすことがあります。
自分で水分補給ができない乳幼児、高齢者に発症しやすい症状です。
気温の高い夏に熱中症を伴った脱水症はニュースになりやすいですが、日常生活のなかでも脱水症のリスクは潜んでいます。
目に見える発汗の他にも、無意識のうちに失っている水分量は体重50㎏の人で1日1000mlになるといわれています。
気温上昇や乾燥など環境による要因の他に、発熱などでも水分は失われます。
体液は栄養素の運搬や老廃物の除去、体温調節、新陳代謝などの生理的機能も担っているため、脱水症を引き起こすとさまざまな症状が現れます。
下痢・嘔吐などの水分損失を伴う症状、また風邪・肺炎などの発熱時にも、より多くの水分を失っていることになり、脱水症になる可能性があります。
日本人の死亡原因の多くを占める脳梗塞や心筋梗塞は、最大のリスク要因の一つに、体内の水分不足があげられます。
脳梗塞や心筋梗塞には、血液中に含まれる脂肪が多い「ドロドロ血」や、高血糖の「ベトベト血」などといった血液の異常が大きく関与します。
脱水症ではこうした血をさらに濃縮させることとなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしやすくなります。
予防策として、室内では無理せず扇風機やクーラーを活用し、適度な気温・湿度を保ちましょう。
また、一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質のバランスが崩れ体調不良を引き起こすこともあります。
水分補給をする時には、あわせて塩分の補給も大切です。
水分と塩分を同時に補給できるスポーツドリンクや経口補水液(OS1など)、また水や麦茶には、塩や梅干しなどを足して塩分も補給しましょう。
緑茶やウーロン茶に含まれるカフェインは利尿作用があるため要注意です。
特に過去に脳卒中や心筋梗塞の既往がある方、生活習慣病を指摘された方は脱水症に注意してください。