家族にとっての大切な思い出に~私たちが出来る最期の看護ケア~

私たち看護師は、人の命に多くかかわる仕事です。
病院には治療を行い元気に退院していく方だけではなく、多くはありませんが最期の時を病院で過ごされる方もいます。皆さんは大切な人を亡くしたこと、または見送ったことはありますでしょうか?

看護師が、最期の時を病院で迎える方に、最後に行う看護ケアをエンゼルケアといいます。エンゼルケアとは、亡くなった方の身体を整える処置です。具体的には身体をきれいにし化粧や更衣を行い、天国に旅立つための身支度を整えることを指します。

私は先日、大好きな祖父を亡くしました。その際、家族の立場として初めてエンゼルケアに関わり、感じたこと、考えたことを今日はお話ししたいと思います。

私にとって、身近な親族を亡くしたことは初めてでした。祖父は亡くなった後からお葬式の間まで日数があったため、その間は自宅で過ごすことになっていました。お通夜の日、お葬儀の方が湯灌・エンゼルケアを行ってくださり、私もその一部である死後化粧を一緒にさせていただきました。

エンゼルケアがすべて終わった祖父は、まるで生きているように血色の好い顔に見えました。エンゼルケア後の祖父の顔は、私の中ではとても大切な、祖父との最後の思い出となりました。

これまで私は看護師として、患者様の最期を見届けたこと、そしてエンゼルケアを行ったことは何度もあります。治療を通じて親しくなった患者様との別れはとても辛く、最後を見送るご家族の涙を見て、自分も涙が流れそうになることもありました。

しかし、今回自分が家族として最期を見送る立場を経験し、お別れはとても悲しいことではありますが、それが家族にとっては大切な思い出の一つになるということも強く感じました。

病院に入院し、治療をして元気になられる方にも、最期の時を迎える方にも、皆さんに安心して過ごしていただき、ご家族と一緒に大切な思い出を作れるように、一人一人に寄り添った看護を行っていきたいと思います。