もっと患者さんに寄り添うために〜介護士から看護師へ。新たな学びと変わらない大切なこと〜

私は看護師になる前に介護士として4年間病院で働いていました。
介護士という役職も患者さんに近い存在でしたが、日常生活面では支えられても医療の知識はないため患者さんが感じている苦痛や不安を十分に理解して上げることが出来ませんでした。もっと患者さんの力になるために、医療専門職としての知識が必要だと感じ、看護師になることを志しました。

そんな私の看護観は『患者さんの訴えや話を傾聴し、その思いや願いに親身になって寄り添う看護』です。
看護学生の時に受け持った患者さんで、膝の手術をしたばかりの方でお風呂に入りたいと言われた方がいらっしゃいました。手術を終えたばかりでの全身の入浴はできませんが、なんとか患者さんの願いを叶えたいと思い、清潔の保持と安楽も兼ねて足浴をしていただきました。

その後、患者さんから笑顔で「サッパリしたよ。ありがとう。」と言ってもらえたことは、今でも鮮明に覚えており、自分が看護師として「もっと患者さんご本人の思いや願いに寄り添いたい」と考えるモチベーションになった心に残る出来事です。当時の私なりに、その人の為に自分に何ができるかを考えて、寄り添う気持ちがあったからこそ喜んでもらえたと感じました。

看護師になって、介護士の時と違い、患者さんをよりよく観察しないといけないと感じました。介護士の時は、入院する理由となった原疾患や身体的に出ている後遺症(麻痺や失語)に対してのアプローチのみでしたが、看護師は既往歴や検査データなどを見て内臓機能を含めて体全体のことまで考えていく必要があると感じました。

以前は、「看護師に報告していた」事を自分が当事者として問題発見・解決まで考えていくのは大変ですが、患者さんをより深く知り、よりお役に立てることに大きな喜びを感じます。入職してからは、目の前の業務が優先となってしまい、学生の頃のように患者さんとゆっくりかかわることが難しいですが、傾聴したいという気持ちを常に持って関わりたいと思っています。

入院される患者さんの中には、認知症で不穏になられる方も多く、私たちが忙しそうに見えるからか、いつも大丈夫と自分の思いを表出されない方、病気により上手に気持ちを表現できない方などもいらっしゃいます。認知機能の低下もなく、自分の意思を伝えてくれる方の話を聞くのは簡単ですが、意思疎通を図ることが難しい方こそ、患者さんの表情や言葉などから意味を読み取り、その人にあった看護を提供する必要があると考えます。