愛犬からもらった「いとま」

先日、我が家の3ワンの次男坊が旅立ちました。14歳過ぎの老犬でしたが、直前まで食欲満々で、その日も晩ごはんをペロリ。少し体調を崩した後に、2時間足らずで、静かに息を引き取りました。家族に囲まれながら、まるで「お暇いただきますね」と最後の言葉を残し、安らかな表情をたたえたままに。

「暇をもらう」「お暇する」。読み方は「いとま」でも「ひま」でも通じますよね。なんとなく昔の表現かなと思っていた「いとま」は、「糸・間」の意味で、少しの間との意味があるそうです。かたや「ひま」は太陽が沈んでいる間の静かな時間の意味が由来だとか。

日中の忙しい時間に対して、隙間に現れるふとした時間に大切な価値を見ていたのかもしれません。自分にとっても自由に使える時間はありがたく、休息や娯楽、家族・ペットとの時間をともに過ごす大切なものです。その時間のお陰で日々の責任を果たすことが出来ています。

皆さんもいろんな活用をしながら、心身を整えているのではないでしょうか。
ふと、このふたつの読み方の違いって何だろうと疑問がよぎりました。意味としてはそれほど変わらないけど、雰囲気で使い分けているような気がします。

「いとま」は少し古くてかしこまった感じもしますが、誰かにお願いしてもらったり、自分の意志で作ったりしているイメージがあります。対して、「ひま」は無然にできたり、持て余したりしているみたいな感じがしませんか。時代によって、時間に対する価値観は変わり、便利な世の中ほど「空き時間」が生まれやすいのかもしれません。だからこそ、何をしていいのかわからない時間になってはもったいないですよね。

仕事や家事などの隙間にある少しの時間でも、自分の意志で「いとま」にできると、時間を大切に使うことだけではなく、どうやって時間を作っていくかに前向きになれる気がします。そうやって出来た時間を惜しげもなく楽しんで使えたら、すごく贅沢な余暇になりませんか。天国で、暇をまったりと満喫している、きっと、あの子のように。