ハラスメントをなくす風土作り~相手の立場で考える、働き続けたい職場へ~

パワーハラスメントについては、今まで日本の法律では明確な定義がなく、防止規定も存在していませんでした。そのためその対策は各企業の自主努力に委ねられていたのが現状です。

しかし2019年6月に「労働施策総合推進法」におけるパワーハラスメントの規定として
①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であり、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されること
以上3つの要素があると定義され、2020年6月1日より適用されました。ただし中小企業は2022年3月末まで努力義務となる見通しだそうです。

労働施策総合推進法の正式名称は、「労働政策の統合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といい、「パワハラ防止法」とも呼ばれ始めています。
事業主や上司は、仕事を行っていくうえで、部下に対して業務命令権を持っており、その言動等が業務の適正な範囲を超えず、客観的に見て、必要性に基づく適正な言動については、問題ないと判断されています。しかし職場での行動や発言が適正であると思っていても相手にすればハラスメント行為だと受け取り、行為者に成り得ます。

また熱意のあまり感情的になってしまい余計な一言を言ってしまうかもしれません。その一言が相手を傷つけてしまうことになります。ハラスメントを受けた人は、自分の役割(仕事)を果たすことに支障が生じるようになり、ミスが増え、自信が持てなくなります。また、同僚との関わりも希薄となって仕事上で大切な報告・連絡・相談が不十分になってきます。言いにくい、聞きにくい環境が負担となり孤立していき、自分の持っている能力も消耗されていきます。

今年度7月に全職員対象としてハラスメントについてのアンケート調査が行われました。その結果をふまえて、9月に「ハラスメントを職場からなくすこと」の研修会を開催します。
自分がどういうときに行為者になる可能性があるのか、どのような職場風土がハラスメントを生む可能性があるのか自覚する場が必要です。

職員ひとりひとりがハラスメントについての意識が高まることで、働き続けられるための信頼関係が出来、離職対策に繋がっていきます。職場は人と人との関係性の中で動いています。システムや体制が上手く運用していても人間の感情まではコントロールできません。
看護師の得意分野でもある「相手の立場で考える」ことを基本として人と接していくことを伝え続けていきます。