〇月×日 とても天気の良い日
いつもどおり透析室では仕事が始まった。
カンファレンスが終わったあとで、患者さんが次々に入室してくる。
みんないつも通り、元気にやってきて体重測定する。
「うわ~、やっぱり週明けは増えるなあ」、「頑張って抑えてきたやん!」週明けの透析室でのあるあるワード。
週3回の透析は週末が2日間お休みになるために、おしっこの出ない腎臓病の患者さんは体に水分がたまりやすく、体重が重くなってしまう。
その中でも1人際立っている人が、、、Cさんである。
5kgも体重が増えていた。
「今日はめっちゃ増えてもた!!昨日外出して昼から肉たべてワインのんできたから!」うらやましい限りである。
私も休日にそんな生活をしたい。
「Cさん、5kgも体重が増えてしまったら4時間の透析じゃ終わらんで。
1時間あたり1250mlもお水引かなあかんなんて想像できる?めっちゃしんどいやん。時間は長くなるで。」と私。
「よっしゃ!余裕やあ~がんばんで~」
うん。
Cさん、がんばって。
この日はお天気でとても暖かく、寒い日が続いている中で透析室には日差しが差し込み、平和な時間が流れていた。
どこからともなく「う~足痛い!!」小さい声で呻き声が聞こえてくる。
Cさんの声だ。
驚いてベッドへ駆け寄る。
「足がつる!手がつる!横腹がつる!終わって欲しい!つったらほんまに痛いやんな」と、その姿を見て改めて終わった。
無理なお水引きをすると、末梢に水分が行き渡らなくなり、足や手などがつってしまう。
「足つらへんお薬飲んできたのにー!!!」漢方には芍薬甘湯というつりを抑えるお薬がある。
しかし無理な除水に対しては有効でない。
「Cさん、沢山食べていいから、お願いやから水分控えてきて!こうなってしまうから。」と痛がる姿に同情しながらも話す私。
「だって喉渇くねんもん!!」やや逆ギレ気味のCさん。
昨日の肉に沢山タレをつけて食べたとのこと。
「あまりつけずに素材を味わうか、出汁などで薄めて食べてください。」と出来るだけ優しくアドバイスする。
「飲む水分が1日600mlしかあかんって拷問やわあ!」・・・・・・今そこ言うとこ?と思う私。
普段は2ℓのペットボトルを2日で飲んでいるとのこと。
「いきなり減らすのはしんどいから、1ℓのものに変更して徐々に減らしていきましょう。」と、こちらもキレたい気持ちを抑えて、諦めずに話をする。
「来週は頑張ってみよかな…」それが聞きたかったんだよと思いながら、「Cさんならできる!大丈夫」と応援した。
すでに4時間の透析を終了した患者さんからCさんに「頑張ってな」との応援の声が聞こえる。
6時間時間をかけ、なんとか目標まで達成できた。(通常は4時間)
今後もCさんと透析の戦いは続いていく。
透析室は今日も平和です。