人との関わり ~臨床工学技士が学校で教えてもらえなかったこと~

みどり病院に入職して透析室に配属が決まり、どんなところだろうとドキドキ、優しい先輩がいたらいいのになとワクワク、しかし、第一声は「ここではどんな仕事もやってもらうで~」と、どうなることか内心ソワソワしていました。
「入職してすぐの初仕事はどんな重要な仕事だろう」と胸を弾ませ向かうと、会議室の拡張のため引越し業者のような、大きな棚を動かす力仕事を頼まれダラダラと汗を流しました。
運動不足であったため身体を動かしてすぐに筋肉痛になりましたが、仕事の緊張もほぐれ気分転換にもなり、同期達と楽しんで荷物運びをしていたことを覚えています。

入職して数ヶ月ほどは、上司や看護師さん、患者さん達とコミュニケーションをとることが難しく、なかなか会話に参加できませんでしたが、やっぱりここは関西!
みなさん冗談を言い合ったりしながら楽しそうに仕事をしていて、休憩中には「彼女とどう!?」など踏み込んだ話もされ、患者さんも「誰も初めから上手く出来ひん」など優しく声をかけてくれるため、だんだん透析室に溶け込むことができました。

透析患者さんは、週3回4時間の透析治療を行わなければなりません。
私たちは2日に1回顔を合わせていますが、全ての方が常に同じ状態で来院されるとは限りません。
例えば、「昨日から熱っぽくて」「おなかが痛くて下痢気味やねん」等、体調不良を訴えられる方もいらっしゃいます。
または、入院が嫌で、もしくは体重増加を先生に叱られるという思いから、体調不良を隠して来院されるケースが稀にあります。
ですから、透析スタッフは口に出さない患者さんの体調の変化を見抜き、または聞き出ださなければならないのです。
そのために、透析スタッフは普段から患者さんの生活背景も把握して、密なコミュニケーションを図り、患者さんが気を遣わずに私たちを家族のように思ってなんでも相談できる環境を作れるように心掛けているのです。

今では私も、コミュニケーションのやりとりの中で患者さんの生活や家族背景などを知り、私生活の変化、さらに全身状態の観察等を気にかけて、患者さんが安全に透析を行い、笑顔で帰っていただける事を、毎日目標に頑張っています。
又逆に患者さんに自分の悩みを聞いてもらったり、それに対するアドバイスを貰う事もあり、私のことを孫のように接してくれる患者さんもいるため、その事も自分の仕事の励みにもなっています。

また、会話だけでなく、臨床工学技士として大事な仕事の一つである医療機器の整備、その基本となる電気系統の配線周りや、血液チューブ等のラインの整理、医療機器の清掃等をしっかり行い、透析上のトラブルを未然に防ぐことを心掛けたいと思います。
医療機器の先には患者さんの命があるということを常に考えて患者さんを取り巻く医療機器を最善の状態に保つことにより、万が一の緊急時にも対応できる環境づくりを心掛けております。

今年もどうぞ宜しくお願い致します。