透析スタッフが患者視点で思う体重管理のよくある悩みのお話

「今日も沢山増えてますね、飲みすぎです」
透析室にて体重を測定する際に透析患者さんは言われたことが一度はある言葉だと思います。なんで? 頑張って水やお茶を我慢したのに何でこんなに増えてるの?そう思い、納得できないままの方も多いですよね。ここで透析患者さんと何年も会話してきたスタッフが聞き取ってきたよくある原因を並べてみます。

おかゆ、おじやといったふやかしたお米を食べている

これがお爺ちゃんお婆ちゃんの患者さんに一番多いです。
白米自体が水で膨らませたものであり、それを更に水でふやかしたものだから食べている側からしたら想像以上に重いです。高齢者ともなると歯が痛い、歯が無い、食欲がない等の理由でよく食べられますがとにかく体重が増えるので要注意!

季節の果物や野菜を食べている

スイカやリンゴ、ミカンやブドウと季節の果物はとにかく瑞々しくて美味しいですよね。 タマネギやトマト、白菜やキャベツも日常生活でよく食べる野菜です。

ですがこれらが体重にかなり響きます!
圧力鍋やミキサーを使ったことはあるでしょうか?私も料理にて圧力鍋を使ったことがありますが、なんと水を使わずとも野菜の水分だけでカレーのルゥが沢山出来てしまいます。凄い水分量です。

果物も同じく水を混ぜずにそのままミキサーにかけたらジュースの出来上がりです。野菜や果物はもはや水風船だと思うくらいに水の塊ということですね。「瑞々しい」ものは「水水しい」ということです。

コーヒーやジュースが大好き

若い方、お年寄り年齢関係なくコーヒーやジュースを飲んでいる方は沢山います。これを飲むこと自体は全く悪くありません。人によってはコーヒーが生き甲斐だと言っていた方も過去にいました。

ですが、ジュースは糖分が多く、糖分ゼロの合成甘味料だとしてもとにかく後味が悪い。同じくコーヒーに関しても砂糖を入れるとクドい甘さがしばらく口の中に残ります。食事をした際もそうですが、後味の悪さを取り除くために結局水かお茶を飲んでしまっている患者が良くおり、結局ジュースとお茶で二重に飲んでしまっている方が良くいますね。

工夫としては、コーヒーならブラックで飲む。ジュースを飲む際は糖分入り炭酸ジュースではなく無糖の炭酸水を飲む。こういった後味の悪さが無いものを選ぶのがコツです。

因みに夏によくある飲み物トラブルですが、「スポーツドリンク」には要注意!!夏の自販機を見ると必ずと言っていいほど並んでいるスポーツドリンク。これには塩分が多量に入っています。透析患者の一日塩分摂取量は6gと言われています。ではスポーツ飲料のペットボトル500mlを一本分の塩分は?

答えは約0.5~0.6gになります。飲み物を飲みつつ塩分は一日の1/10も摂ってしまっている事に……塩分を取ると本人の意思にはかかわらず、生理反応として喉が渇くように人間の体はなっています。

つまり私は何が言いたいのかというと。
「喉を潤すためにジュースを飲んだのに、それが原因で更に喉が渇く」という悪循環が発生するという事です。常日頃から「塩分制限してください」と透析室のスタッフの人たちが言うのはこの為ですね。

氷やうがいによる予想外の体重増加

喉が渇くと氷やうがいなどをして対処する事を勧められたことがある方もいると思います。ですが、実はこれも少なからず体重増加の原因になります。

氷一個の重さは大体25g程とされています。実際氷を持ってみると割と重く感じますよね。つまり4個も口にすれば100gにもなりますので飴玉の感覚で口にしていると想像以上に体重増加につながります。うがいも同様で、口に入れた水を吐き出しても全てが出るわけではなく1/5程度は飲み込んでしまうものですので要注意。

塩飴、塩キャンディといった夏によく売られている塩シリーズを食べる

透析患者の場合、よほどの脱水状態にならない限り真夏であれど塩分補給を意識する必要はありません。塩飴は一粒で約0.2g程度の塩分が含まれている為、塩分制限のかかっている透析患者にはほぼ不要なものとなっています。多量に汗をかいたならそのまま混ぜ物のない水を飲むことをお勧めします。

他にも色々と透析患者さんからしたら理解できないが止めるように言われている食べ物や飲み物があるかもしれませんが今回はここまでとなります。水分制限はとてもつらいものだと思いますが、制限することが自分の命を守る事だと思い頑張ってください。