1年を振り返って

入職してみどり病院の臨床工学科に配属され、1年が経ちました。この1年いろいろなことを学びました。特に印象に残っていることは、細かいところにも気が付くように視野を広く持つことを再三言われ続けたことです。

視野を広く持つことで、患者さんの情報収集や機器異常の早期発見につながることが分かり、透析業務以外でも細かいところに目を向けられるようになりました。また、違う視点から物事を見ることで、今まで気づけなかったことも気づけるようになり、自分自身の成長にも繋がっていると感じました。

うまくいかなかったこともたくさんあります。特にシャント穿刺を一回で成功できなかった事が印象に残っています。患者さんの腕にシャント穿刺部から出血で痣ができてしまった時には、これでシャント血管がダメになってしまったらどうしようと悩みました。失敗すると落ち込んで穿刺をするのが嫌な時もありました。上手く穿刺しなければと思えば思うほどプレッシャーがのしかかり、自身の責任の重さというものをひしひしと感じました。

そんな時、失敗しても患者さんから「失敗は誰にでもあるからいいよ。」などと優しく声をかけてくれた時は、患者さんの期待に応えられるように頑張ろうと思いました。失敗をしたときに、なぜ失敗をしたのかしっかり振り返り、どうすれば次に上手くできるかを考えることが大事だと感じました。振り返ってうまくできるようになった時は凄くうれしかったです。失敗したときに失敗したままの状態にせずに次にどう活かしていくかが大切と身を持って学びました。

この1年を通して透析患者さんとほぼ毎日関わってきました。穿刺の時や透析が終わった後に「ありがとう」と言ってくださる時や「よく頑張っているね」など言ってくださったときには自分も一人前になってきたなと感じるようになりました。透析装置の点検等、色々な場面でパーツ交換をしている時や病棟で色々な機器に触れたり点検をするときにも、医療人としてのやりがいを感じるようになりました。

もっとも、やりがいだけではなく、仕事をするという事にはプロとしての責任が伴います。例えば機械の点検が確実に行われない、また機器を使用中にエラーやトラブルが起こってしまうことのないように、正確に点検等をする必要がありました。

もし穿刺を失敗すれば、患者さんの大切なシャント血管をつぶしてしまう可能性もあります。シャントのことを理解するために血管の超音波検査の結果を確認し、実際に患者さんのシャント血管を見て、触れて、音を聞いて、どのように血管が走行しているかを知る必要がありました。

また、透析中に血圧が低下すると意識レベルがダウンしてしまい、安全に家に帰宅できないこともあります。患者さんの既往歴や透析経過に伴う血圧の下がり方などは患者さんによってそれぞれ違うため、患者さんの特徴、その日の状態を理解した上で、アンテナを張って日々の透析業務に臨むことが大切だと感じました。

最善の透析管理を行うためには、基礎疾患と透析に伴う血行動態の変化、そしてさまざまな腎不全合併症を理解し、目の前の患者さん一人一人に「次、何が起こりうるのか?」の視点から、リスクを予測して目を光らせる必要があります。

私は、まだまだ未熟で、不安に思うことも多いですが、日々色々なことを患者さん、上司・先輩の方々から学んで吸収して成長し、患者さんに安心で安全な透析治療として還元できるように頑張っていきたいと思います。
また、新しい業務やスキルアップにも積極的に挑戦し、透析に限らず様々な患者さんのお役に立てるよう精進していきたいと思っています。