良い睡眠のために~睡眠の質を上げるために自宅でできること~

こんにちは。みどり病院透析室の看護師です。
わたしは毎日透析に来られる腎不全患者さんと話すことが大好きで、なんでもないような会話をするのが楽しみになっています。

そんな患者さんとの日常会話の中で、食べ物に次いでよく出てくる話題の一つに「睡眠」があります。皆さん、夜はぐっすり眠れていますか?
患者さんとの会話で「あんまり眠れなくて〜」との言葉を聞くことがしばしばあります。
そこで今日は、患者さんだけでなく、web記事をご覧の地域の皆様にも広く役立つような「良い睡眠とは何か」「良い睡眠をとるための方法」についてお話したいと思います。

良い睡眠…

  • 規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、昼夜のメリハリがはっきりとしている
  • 必要な睡眠がとれており、日中に眠気や居眠りすることなく、良好な心身の状態で過ごせる
  • 途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られる
  • 寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入眠できる

良い睡眠の体への影響…

生活のリズムが整いやすくなり、体内のホルモンバランスも保たれやすくなるので、肥満や高血圧、耐糖能障害、循環器疾患、メタボリックシンドロームといった生活習慣病の予防にもつながります。抑うつや不安などこころの不健康も予防します。
質の良い睡眠が得られると日中の状態がよくなり、活動的に過ごすことができ、また日中の活動的な生活が良い睡眠をもたらし、からだとこころを健康にします。

良い睡眠をとるための方法…

  • 生活サイクルを整える、就寝起床時間は一定に
    睡眠と覚醒は体内時計で調整されています。平日、週末にかかわらず、就寝と起床は同じような時刻にする習慣を身につけましょう。
  • 朝の光をあびる
    太陽の光をあびて体内時計をリセット。朝起きてから14時間過ぎると眠気を生じるとの報告もあります。つまり朝寝坊をするとそれだけ眠くなる時間は遅くなります。
  • 朝食をとる
    朝食をとることで体のさまざまな臓器にも朝が来たことをお知らせします。
  • 定期的に適度な負荷の運動を
    速歩やランニングなどの運動習慣を持つことで寝付きがよくなり、深い睡眠が得られるようになります。
  • (可能なら)お昼寝を有効に利用する
    午後に眠気のある場合は15分程度の昼寝をすることで夜によく眠れるようになることがあります。高齢者の場合は30分程度の昼寝がよいとされています。
  • 入浴はぬるめのお湯にゆっくりと
    入眠の1時間以上前にぬるめのお湯にゆっくり入り心身の緊張をほぐします。半身浴は心臓への負担も少なく、副交感神経を優位にさせ、睡眠の質を向上させることがわかっています。また、熱いお湯での入浴は交感神経を刺激し心身が緊張、興奮状態になり血圧が上昇し心臓に負荷がかかることや、ヒートショックのリスクもあるので注意して下さい。
  • 精神的ストレスの発散
    自分に合った趣味を見つけ、上手に気分転換。ストレスをためないように。
  • スマホやパソコンは早めにオフ
    これらからでるブルーライトは目覚まし作用があるため夜は控えめに。
  • 寝酒、喫煙、カフェインは避ける
    寝酒は寝付きをよくするが、途中で覚醒することが増え、眠りが浅くなります。タバコやカフェインも途中覚醒しやすくなり、熟睡感が得られなくなります。

睡眠の質を上げるとさまざまなメリットが得られます。これらの中に取り入れられそうな習慣があればぜひチャレンジしてみてもらいたいです。また焦らずにひとつひとつ検討しながら日々の生活を整えてもらえたらいいなと思っています。

また、最近当院では睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑われて検査をする患者様が増えています。
参考:睡眠時無呼吸症候群(SAS)
https://midori-hp.or.jp/sleepapneasyndrome/

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状

  • 睡眠中の強いいびきと無呼吸状態(10秒以上呼吸が止まる)を繰り返す
  • 日中の眠気や起床時の頭痛
  • 日中の強い眠気や集中力、注意力の低下
  • しっかり眠っているはずなのに疲労感がとれない

上記のような症状をかかえ受診される患者様がおり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されれば、必要に応じて在宅CPAP療法などで治療を行います。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニング検査は、腕時計のように本体を手首に装着し、指にSpO₂を測定するセンサー、胸骨上にいびきや体位を見るセンサーを装着するもので簡易的に行える検査です。

睡眠時無呼吸症候群と自覚なく発症し、放置して日常生活をおくっている方もいます。
そうかも?と心当たりがある方、家族や友人の方にそのような症状があればまず病院で相談をしてみましょう。