透析していても妊娠、出産を諦めない!

透析医療の進歩に伴って、透析患者様の生活の質も向上しています。仕事や家庭と両立し、充実した生活をおくっておられる方も多くいるのではないでしょうか。

しかし、難しいとされているのが「透析患者の妊娠、出産」です。なぜ、透析を受けている方の妊娠、出産が難しいのでしょうか?
それは、女性ホルモンです。

女性ホルモンは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類あります。エストロゲンとは、卵子を包む卵胞を育て、子宮内膜を厚くする事で妊娠の準備を行う女性ホルモンです。その他にも自律神経のバランスを整えたり、新陳代謝を促進する働きがあります。

プロゲステロンは、排卵の際に分泌量が増加する女性ホルモンで、受精卵が着床しやすくする働きがあります。妊娠後は、子宮の収縮を抑制し、妊娠状態を維持する働きもあります。透析治療を受けている女性は、エストロゲンの分泌量が減少傾向になる場合があります。そのため、更年期症状が出現し、月経不順や排卵障害等が起こる事で妊娠確率が低下してしまいます。

また、月経不順や排卵障害が起きると、プロゲステロンが安定して分泌ができなくなり流産の危険性があります。
このように、透析患者様が妊娠、出産をするまでにはいくつもの障害を乗り越える必要があり、健常人と比べると妊娠、出産の確率が低くなってしまいます。

しかし、絶対不可能というわけではありません。
透析患者様の出産症例はいくつもあり、無事に出産に至った方も数多く報告されています。出産までの道のりは厳しいかもしれませんが、最初から諦めてしまう必要はありません。

では無事に透析患者様が出産するためにリスクを減らすには、どのような事が必要でしょうか?まずは、お腹の胎児の成長に合わせ、ドライウェイトを調整することが必要です。

ドライウェイトが厳しすぎると、母体の水分量が減少し「羊水過少」を起こす可能性があります。羊水過少になると胎児の成長に影響がでてきてしまいます。また、ドライウェイトが甘いと母体の心臓に負荷がかかってしまい、「羊水過多」のリスクが上がってしまいます。羊水過多になると早産や前期破水等の危険性が上がります。妊娠中の透析患者様の適正なドライウェイトを決めるためには、透析医と産婦人科が連携をとっていく事が大切です。

また透析患者様が出産される場合、低出生体重児が多いといわれており、その原因とされるのが尿毒素とされています。尿毒素は透析で除去できるため、時間や回数を多くする事でリスクを軽減することが可能です。

現在では、妊娠中の透析回数は制限がないため母体や胎児の体調に合わせ透析を行うことができます。胎児への影響を考えると4,5日/週の透析が望ましいとされています。

維持透析を行っている方であっても、妊娠、出産は諦める必要はなく、妊娠後も母体と胎児に合わせた透析を行う事で無事に出産することができます。
人生を諦めずに、困った事があれば相談してみて下さい。