手術室は、患者に創を作り体内の無菌野を開放して操作する特殊な部門でもあるため、病院内でも特に厳密な感染対策が求められます。
手術室における感染対策には、空調設備管理や清潔・不潔エリア分けによるゾーニング、手術器械の洗浄・消毒、そして手術時に行う手洗いなどがあります。
今回は、手術時手洗いについてご紹介します。
手術時手洗いの目的は、
①皮膚表面、特に爪、手、前腕部の一過性微生物を除去する
②常在細菌叢の微生物を限りなく減少させる
③微生物の急速な再増殖を抑制する
の3点です。
手術時手洗いの方法には、ブラシを使用した手洗い(スクラブ法)やブラシをしない揉み洗い法、擦式手指消毒(ラビング法)があります。
以前はスクラブ法が主流でしたが、ブラシ使用による皮膚損傷といった問題から、現在は皮膚を損傷させず、かつ滅菌効果や持続的な殺菌効果があることから、0,5%~1%のクロルヘキシジングルコン酸塩配合のアルコール製剤によるラビング法に変遷してきています。
当院でも、主流はラビング法になってきていますが、個人によってはブラシを用いたスクラブ法を行っている方もいます。
手術時における手洗いが原因となる手荒れは、特に頻繁に手洗いをする看護師におこりやすく、しばしば悩みの種になります。
手荒れのある手には細菌が増殖しやすく、感染防御の面からも大きな問題となります。
手洗い時に用いられる主な消毒薬は、ヘキシジングルコン酸とポピドンヨードです。
当院でも、手洗いするものが自分に適したものを自由に選択できるように両方用意しています。
手荒れの機序としては、
①天然保湿成分や角質細胞間脂質の減少により角質が乾燥
②消毒薬などによってバリア機構が悪化することにより刺激物質が皮膚に侵入しやすくなり手荒れが生じる
と考えられています。
したがって、対策としては、天然保湿成分の補給、油分の補給、保湿剤の使用、などが挙げられます。
これからの季節、特に皮膚が乾燥しやすくなります。
手術室看護師も手のケアを行い、手荒れには注意したいものです。
そして、感染防止に努めたいと思います。
皆様も手の保湿を行い手荒れの無い綺麗な手でこの冬を乗り越えましょう。