病院ではどの様な人達が働いているのでしょうか?
医師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士などの職種を思いつかれる方がほとんどだと思います。
今回はその中でも臨床工学技士についてお話ししたいと思います。
まず、「臨床工学技士って何?」と思われるでしょう。
自分自身、臨床工学技士として病院勤務してから十数年、同じ医療職である看護師さんからも稀にこの様な質問をされることがありました。
そういう時には「主に機械屋さん。透析もしたり、手術にも入ったりするけど、そういう時は機械の操作をしたりもする」という風に説明していました。
一般の方だと「ああ、レントゲン技師さんね」とか「臨床検査技師さんとは違うの?」という反応が多かったです。(臨床工学技士の間ではあるある話です)
臨床工学技士という資格ができて30年近くなりますが未だ一般的に知られていないのが残念です。
病院を舞台にしたドラマ等でも臨床工学技士が登場しないのが知られていない原因の一つかなと思います(以前、医療ドラマ“〇龍”に登場していましたが、あまり目立ってなかったと思います)
臨床工学技士法には“医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者”とあります。
実際は透析業務に就いている人が多く、他に手術室での人工心肺業務、ペースメーカー業務、心臓カテーテル業務に就いている人もいます。
どの業務にも共通して言えるのが機械の操作、メンテナンスを行うという事です。
透析では機能が低下した腎臓の代わりに機械で腎臓の役割を補います。
人工心肺は心臓手術の際に一時的に心臓を止めてしまう必要があるので、その間心臓や肺の役割を行います。
ペースメーカーは500円玉程の大きさの機械で主に脈の遅い不整脈の人の体内に植え込み脈を正常にするものです。
植え込んだ後のチェックを別の機械を用いて行います。
心臓カテーテルはカテーテルと呼ばれる細い管を手首や足の付け根から挿入し心臓の所まで持っていき冠動脈と呼ばれる心臓の表面にある血管に異常がないかを調べ、異常があればカテーテルを使用し治療するといったものです。
この業務ではどのような生命維持管理装置を操作するのかというと、心臓の検査・治療なので突然血圧が下がったり、脈が遅くなったり、最悪の場合は心臓が止まってしまうこともあります。
そのような場合は臨床工学技士が一時的なペースメーカー、心臓の補助循環装置を準備し操作を行います。
他にも病院によって色んな業務があり、各業務で臨床工学技士が活躍しています。
みどり病院では臨床工学技士が7名在籍しており、上記の業務にそれぞれ携わっています。
その他に病棟でモニターや機器に何かトラブルがあれば駆けつけ、対応をしたり勉強会を開催したりしています。
医療は日々進化しており、それに伴って生命維持管理装置も新しいものが出てくる為、その都度勉強していかなくてはならないので大変ではありますが、自分が操作し検査・治療に貢献できた時は、何とも言えない充実感を感じる事ができます。
自分自身もまだまだ勉強不足で先輩や周りのスタッフに迷惑をかけてしまうことが多々ありますが、いつかは頼られる存在になれる様に頑張っていこうと思います。
臨床工学技士について少しわかって頂けたでしょうか。
まだまだ認知度の低い職種ですが色んな病院で臨床工学技士が活躍しているのだと思って頂けたら嬉しく思います。