風邪をひきやすい季節や、季節の変わり目になると「なんだか咳だけが続いていて体調がすぐれない」とか「熱はないのに2週間も乾いた咳が続いている」など、咳が続くという症状を訴える患者様がおられます。
「咳だけだから、わざわざ病院に行くまでもない」と、思っていると、別の病気が隠されているかもしれません。
また、咳は体力を大変消耗するし、かえって重症化してしまう原因になるかもしれません。
若い方でも2週間、咳が続くようなら受診をお勧めします。
咳は、ホコリや病原菌、食べ物などの異物が気管支に入るのを防ぐための体の防御反応です。
また、痰などを体の外に出す働きもあります。
咳が出るということは、異物を体から出すために必要だから起きている現象なのです。
長引く咳のなかでも注意したいのが、「マイコプラズマ感染症」です。
「マイコプラズマ感染症」はマイコプラズマという細菌によって起こる感染症です。
症状は頭痛、発熱など風邪症状と同様です。
初期症状1~2日後から乾いた咳が出てきます。
潜伏期間は2~3週間と言われています。
この病気にかかると、通常風邪症状で処方されるセフェム系の抗菌薬では効果がありません。
マクロライド系の抗菌薬しか効果がないのです。
ですので、市販薬や他の抗菌薬を内服していても症状が一向に改善されず、家族にうつしてしまったり、重症化する可能性もあります。
15歳以下の子供に多い病気ですが、大人もかかってしまいます。
大人の場合、咳だけだと思って病院に受診しないでいると、気管支炎から、肺炎など重症化することがあります。
マイコプラズマ感染症の診断には採血があり、みどり病院では1時間くらいで結果が出ます。
時期が早すぎると陰性になる場合もあります。
通常、一般的な抗菌薬を処方し、効果が出ない場合に原因菌の特定をし、マイコプラズマ感染症と診断されれば、マクロライド系の薬を処方します。
また、マイコプラズマ感染症の患者が地域で流行している場合は、マクロライド系の抗菌薬を処方する場合もあります。
マイコプラズマ感染症だと、マクロライド系の薬を内服すると数日で症状が改善してきます。
このように、マクロライド系の抗菌薬しか効果のないマイコプラズマ感染症にかかると、いくら他の薬を内服しても効果がないばかりか、周囲の人にもうつしてしまったり、重症化してしまうので、咳だけだと思って我慢しないで、若い人でも2週間、咳が続くようなら、早めの受診を心がけましょう。