新型コロナウイルス感染症の流行により生活様式が一変した令和2年が終わり、新しい年を迎えてから早くも一月以上が経過しましたね。
今年もみどり病院をどうぞよろしくお願いいたします。
最近では新型コロナウイルス関連のニュースで防護服やガウン姿の医療従事者の映像を毎日のように目にしますね。
外来兼手術室で勤務している私としては、ガウン姿の医療従事者を見るとついつい意識してしまいます。血液・体液・分泌物・排泄物などから医療者の身体・衣服の汚染を防ぎ、患者さんへの媒介・伝播を防ぐ目的で着用するガウンですが、感染症対応時着用する個人防護具と手術時に着用するガウンでは目的が異なるところがあります。
それは手術時に着用するガウンは、体内の無菌野を開放して手術操作を行うため、体内に菌を入れないように清潔操作を徹底して着用する必要があるという点です。普段の生活や病院受診ではほとんど目にすることのない、テレビドラマの手術シーンで医師や看護師が着用している手術用のガウン。
今回は手術室で着用するガウンについて、どのように清潔を保ちながら着用しているのかを紹介したいと思います。
清潔(滅菌)の状態を保って着用するために、必ず介助者にサポートしてもらう必要があります。
装着までの手順としては
1) 手術前手洗いを実施する
2) 介助者に滅菌パックされている手術用ガウンを開封してもらう
3) 内側(体に当たる側)と背部は不潔(滅菌でない状態)になるため、まずは内側になる部分を持った後、背部を止める紐を介助者に触れないように注意しながら渡す
4) 背部(首後ろと腰)の紐を介助者に結んでもらう。
5) 腰の左側に背部に回す紐が紙についているので、固定を外し介助者に渡す。
左周りに 回って紐を腰に体の前面まで巻きつけ、介助者の持つ紙から紐を外す。
6) 腰の紐を結んで完了。
このようにして介助者と協力してガウンを装着します。
その後滅菌手袋を二重に装着して、手術時のガウン装着は完了です。
ガウン装着後は襟元から肩、自分の腹から下、自分の背面は全て不潔とみなされます。つまり、清潔でいられるのは、自分の胸から臍くらいまでの前側と袖だけで、実はとても範囲が狭いのです。
なので、ガウン装着後は、このイラストのように、手を胸の前に持っていきます。移動する時も、手の位置は胸の前のままで、周りの物に触れて手や体が不潔にならないように注意しています。(ちなみに手術が終わった時や交代して清潔でなくなる時は“手を下ろす”と表現したりもします。
そのくらい、手術室では手が下がっている=不潔とみなされます。)
最後にガウンの脱ぎ方も簡単に紹介します。
- 二重に装着した手袋を、一枚だけ外す。(手袋は内側が表になるように裏返して外す)
- 首後ろと腰の紐を外す。(もしくは介助者に外してもらう)
- 外側が血液などで汚染されているので、汚染面が内に巻き込むように腰の辺りで折りたたむ。
- 袖から両腕を抜く。
- 汚染面に触れないように適当な大きさに丸めて脱ぐ。
- 手袋を外して手指消毒する。
新型コロナウイルス感染症の患者さんに関わる医療従事者の感染予防として着用する防護具としてのガウンでは、自身が汚染されない(ウイルスが付着しない)ために、この“脱ぎ方”が重要であると言われています。
私たち手術室看護師も、ガウンテクニックを含めたあらゆる清潔操作の徹底、スタンダードプリコーション(標準感染予防策)の徹底を心掛け、安心・安全・清潔な手術看護を提供できるよう、日々精進していきたいと思います。