訪問診療や介護保険という言葉をお聞きになったことはありますか?介護保険制度は2000年に高齢者が増加して、介護を必要とする高齢者を支える国の制度として制定されました。40歳から64歳の方はご自身も老化に起因する疾病により介護が必要となる可能性が高まることから介護保険料を負担することになっております。給料の天引きなどされている方は介護保険という言葉はなんとなくご存じかと思います。
片や訪問診療は介護保険の始まる前の1986年から在宅医療の足掛かりとして始まりました。ちょうどその頃東北にいた私は、在宅医療のモデル地区に指定されていたこともあり、初期の段階から訪問診療で先生に同行しておりました。今では種々の加算が取れるようになりましたが、内容は30数年前とほとんど変わりません。
今もみどり病院で2年前から訪問診療に携わっておりますが、今と違う点は地域的な道路環境や気候の違いくらいです。特に雪の降る冬場はこちらと同じように午後から診療所を休診にして開始するのですが、7-8件の患者様を回ると帰りは5時を過ぎることもあり辺りは真っ暗です。雪の積もった山の中や、アイスバーンの国道など走ると目的地にたどり着くまでに時間がかかるのです。1件に往復2時間かかることもあります。それを考えるとこちらは雪が降らないので大変助かっています。これは都市部とへき地の違いなので仕方のないことですが、診療料金は同じなのです。
さて、訪問診療の内容ですが、経鼻経管栄養のチューブ交換、褥瘡処置、尿道バルーンの交換、膀胱瘻チューブの交換、浣腸や摘便など処置、採血、時には点滴も行いました。その頃、訪問看護ステーションはなく、町役場の保健師が担当患者を決めて対応する形でしたが、今では訪問看護ステーションが代行してくれますので、処置はほとんどなく、体温や血圧測定、血圧コントロールや血糖コントロールのための定期採血や定期処方を出すなど体調観察が主な内容です。もちろん、病態の悪化時はこの限りではなく、早急に出向いて(往診)そのまま入院に至ることも多々あります。今はコロナ禍で入院もコロナの検査が必要ですが、訪問看護ステーションと連携していると、事前情報などから入院もスムーズに進めることができます。
往診と訪問診療の違い
ここでも往診という言葉が出てきましたが、訪問診療と同じじゃないのと思われそうですが、同じ在宅医療でも実は違いがあります。まず医療には外来医療、入院医療、在宅医療の3つの柱で成り立っておりますが、その中に患者様の自宅に出向いて行う医療が在宅医療です。訪問診療は月に1-2回第〇曜日の〇月〇日と日程を決め、計画的に行うものです。そして往診は病状により、必要と判断される場合や家族の依頼に緊急的に応じるものです。病状が安定していると訪問診療だけで済みますが、不安定な時は往診の回数も増えることになります。
対象となる方
- 通院が困難な方
- 自宅療養をご希望の方
- 病院から退院した後のケアが必要な方
- かかりつけ医と呼べる病院がなく不安な方
- 人生の最期まで自宅で過ごしたいとお考えの方
終末期、在宅でのお看取りも可能です
となります。
お支払い(料金)
翌月払い
●医療保険
1割 月1回3200円+α(採血等)
2割 月1回6400円+α
3割 月1回9600円+α
月2回は倍量とはならず変則的
●障害手帳お持ちの方
600円/月2回
400円/月2回
●特定医療費受給者証お持ちの方(自己負担上限までの支払い可)
難病 2500円/月
5000円/月
10000円/月
20000円/月
●生保:無料
※医療材料費(ガーゼ、テープ)自費となることがあります。
配薬サービス
お薬を取りに行けない場合
①薬剤師による配達サービス(薬剤管理料500円くらい)
②介護保険1割負担 (509円)
③生保の方は無料
病院で入院中の患者様や家族に対して、今後の方針を決める際に「最期の時を 人生の終わりをどこで迎えたいと思っているか」と尋ねられることがあります。自分の意思を伝えられる人は我が家に帰りたい。最期の日は我が家で迎えたい。家族みんなと最期まで一緒にいたいと答えます。そして家族はいつもそばで寄り添っていてあげたい。最期は我が家に連れて帰って家族みんなで見送ってあげたい。と思いを語られます。その双方の思いを叶えるのが在宅医療であり、そのための在宅医療ということになるのです。
コロナ禍で入院しても面会できず、さらに家族の役割も半減しておりますが、在宅では存分に役割や結びつきを発揮できることから在宅看護や在宅医養(訪問診療)、自宅での看取りをご希望される本人、家族様が増えております。このようなニーズに応えられるように、当院でも在宅看護、訪問診療を行っております。
その趣旨をご理解いただきまして、ご利用ご希望の方はまずはお電話でお問合せください。すでに主治医のいる方は、みどり病院に限らずかかりつけ主治医の先生にまずご相談ください。