診察の待ち時間Q&A~「なんで病院はこんなに長く待たせるの?」にお答えします〜

皆さん、こんにちは。9月に入ってもまだまだ油断の出来ない暑さですが、いかがお過ごしでしょうか?私は四季を感じられる日本は大好きですが、夏は本当に体力的につらい季節です。
食欲が減退したり、空調の効きすぎた部屋でだるくなったり、体調を崩したりと、どちらかといえば苦手な季節と言えます(もちろん楽しいイベントも多いので一概には言えませんが)ただもう、暑いだけでイライラしちゃう、なんてことも…。

そんなイライラというワードから連想を繋げて、今回のブログ記事は患者様が日々感じておられるであろう病院での「最大のイライラ」と言っても良いかもしれない「待ち時間」について書いてみたいと思います。

皆さんは病院受診の際に、普段から「予約時間は過ぎたのに、診察に呼ばれない」「採血があると言われたのに、いつまで経っても呼んでもらえない」等、待ち時間に関する疑問と同時にイライラを感じることが多々あるのではないでしょうか?

どんな場合でも「待たされる」ことはストレスですし、イライラしてしまいますよね。かくゆう私もその一人です。母の付き添いでよく他院を受診するのですが、長時間待つことが多々あります。医療機関の規模に関わらず、大学病院でも近所の医院でも2時間待ちになったりすることがあります。

そんな時は、一体いつまで待たせるのかと本当にイライラしますし、長時間に及ぶほどイライラは怒りに変わってしまうこともあります。医療機関に勤務し、「待たせてしまう」楽屋裏を理解している私でさえそう感じるのですから、患者様においては尚更ですよね。

そんな待ち時間のイライラ解消(待ち時間そのものを短くできるわけじゃなく恐縮ですが)に、少しでもお役に立ちたいという思いから、当院での診察にまつわる「待ち時間」についてQ&A形式でお話してみたいと思います。

~みどり病院の診察にまつわる「待ち時間」Q&A~

Q1) 診察予約時間を過ぎても、一向に診察室から呼ばれない。どうして予約時間通りに呼ばれないのか?

A)診察前の検査の有無や患者様の病状などにより、診察にかかる時間は大きく左右されます。
担当医師も予約時間通りに診察できるように心を砕いていますが、病状や今後の治療についての説明により多くの時間が必要になることもあり、なかなか予定通り診察にご案内出来ない場合もございます。また、医師の判断で緊急の処置を要する患者様がいらっしゃる場合も、予約時間通りに診察できない理由の一つです。

そして、既にご存じの方も多いと思いますが、6月から「(※1)生活習慣病管理料」による「療養計画書」の作成や説明が必要になり、より時間をいただくこととなりました。また、診察を担当している医師によっては、病棟にも多くの患者様を抱えており、急変時は看護師に指示をしたり、自身が処置にあたる場合など、予定にない対応に追われることもございます。外来患者様の診察の合間にこれらを行う必要があるため、より時間がかかってしまうことになり、結果的に予約時間通りにご案内できていない現状がございます。

(※1)厚生労働省が2024年6月以降の診療報酬改定で糖尿病・高血圧・脂質異常症で通院されている患者様を対象に「生活習慣病管理料」を算定することを決定いたしました。それに伴い該当の患者様には〈療養計画書〉を作成し、生活指導を行う必要があり、より診察に時間がかかるようになりました。

Q2)自分より遅く受付をした人が先に診察室に呼ばれた。自分の順番を飛ばされたのか?

A)通常は理由なく順番を飛ばしたりすることはございません。ご自身より予約時間の早い患者様が後から来院されたときなど、そのように感じられることがあるかもしれません。ですが、実際に順番が前後してしまう場合もございます。一つは、診察前の検査の有無です。採血など結果が出揃うまで診察はできません。

そして、もう一つ大きな理由があります。
生命にかかわるような重症患者様がおられる場合や予約の患者様であっても医師が急いで診察・検査を行う必要のある状態の悪い患者様がいらっしゃれば、そちらを優先して診察を行わなければなりません。診察室での状況が分からない患者様にとっては、順番を飛ばされた、と感じる原因になっているのかも知れません。疑問に思われた場合はお訊ねください。

Q3)診察予約時間よりかなり早く病院に到着した。予約時間より早く診察してもらえるのか?逆に、診察予約時間よりだいぶ遅れて到着した。ちゃんと診察してもらえるのだろうか?

A)基本的に診察予約時間でご案内となりますが、当日の予約人数・診察内容でご案内できる時間は変わってきます。診察の状況により早めにお呼びできる場合もございますが、反対に診察が立て込んでいる状況下では、お待たせしてしまう場合もございます。

Q4)予約外で来院したが、どのくらい待たされるのか?

A)おおよその目安としては30分-60分くらいとなります。
基本的には予約患者様が優先となります。予約患者様が途切れたタイミングで早めにご案内できる場合もあれば、もっと遅くなる場合もございます。診察の状況を鑑みながらご案内させていただいています。もちろん体調が悪く来院されている場合はこの限りではなく、医師に報告し早めの対応をしております。

Q5)診察予約をしているが、急用ができてしまった。予約時間より早く診察してもらえるか?

A)早めにお申し出ください。急用の内容と当日の診療状況を加味して担当医が判断いたします。

Q6)診察を待っている間に、気分が悪くなってきた。早めに診察してもらうことはできないか?

A)体調がすぐれない方は、早めにお声がけください。看護師が症状をお聞きして、担当医が判断します。

Q7)待合で待っている間にトイレに立った。その間に呼ばれていないだろうか?

A)呼ばれたかどうかご不安な時はスタッフにお訊ねください。何度かお呼びして待合にいらっしゃらない場合、 申し訳ありませんが、次の患者様をお呼びさせていただくことがございます。

Q8)薬が欲しいだけで体調も悪くないのに、どうして診察を待たなくてはいけないのか?

A)無診察での治療(処方含め)は医師法で禁じられています。お薬だけ希望でも、医師が診察をしたうえで処方する(処方箋を発行する)必要がございます。これは医師法で明記されていることですので、診察をせずに薬をもらうことは原則不可能となります。

いかがでしょうか?
ここに挙げたことがすべてではなく、色々な状況が重複している場合もございます。当院で待ち時間がどのようなときに発生してしまっているのか、スッキリとはいかないまでも、日ごろ感じていらっしゃる疑問に少しでもお答えできていれば幸いです。

最後に、「待ち時間の短縮」は、医療機関にとって大きな課題の一つです。

スタッフは皆、どんな場合であっても、“お待たせしていい理由”にしてはいけない事を十分理解しています。しかし、私たち病院職員が医療人としてもっとも優先すべきことは、「命を助ける」ことです。一見症状が軽度でも緊急性のある患者様もいれば、症状が差し迫っていても命に関わらない病気の方もいます。

我が国における医療提供体制は、社会保障の中、すべての日本国民に病気や怪我に対する適切な治療を行い、より多くの国民を救うための仕組みとして国民皆保険で行われています。できるだけ多くの人を病、怪我から助け、「救える命を最大化」するために、医療現場では時に患者様をお待たせしてしまうことも避けられません。

決して待ち時間が”0(ゼロ)”にならないことも現実としてございますが、スタッフ一同、様々な工夫をし、患者様が少しでも気持ちよく受診していただけるよう努力していきたいと考えています。日本が誇る保険診療の仕組みの中で、患者様、地域の方々と一緒に、これからもより良い医療提供を目指していければ幸いです。

当院でできることがあれば積極的に改善していければと思いますので、お気づきの点などあればご遠慮なくご指摘下さい、どうぞよろしくお願いいたします。