すっかり寒くなり、今年も感染症が流行する季節がやってきました。
コロナ禍があり、手洗いや消毒用アルコールは日常にも溶け込んだように思いますが、新型コロナ5類移行以降は、マスクの着用も個人の判断になり、街中でアルコール消毒を使用する人を見ることが減ったように感じています。少し感染対策が緩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
しかし、病院内では患者様と医療従事者自身を守るために感染対策は徹底しなければなりません。院内での感染症は医療従事者の手を介して伝播すると考えられており、感染の伝播を断ち切るためには適切な手指衛生が必要です。
今回は外来スタッフが手指衛生を遵守するために、外来の感染対策委員スタッフがどんな取り組みをしているかを紹介させていただきたいと思います。(実は私自身は別の委員会担当なのですが、ぜひ紹介させていただきたいと思い、この記事をまとめました。)
まず先ほども述べたように、病原体は下記のように医療従事者の手を介して伝播すると考えられています。
◎患者様の皮膚には病原体が存在し、周囲の環境にも付着している
↓
◎ケアにより医療従事者の手指に移動し、数分は手指で生き続ける
↓
◎医療従事者の手指衛生が不十分
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◎別の患者に直接触れるか、患者が触れるものに触る
この伝播の経路を断ち切ることが感染対策において重要になります。
そこでWHO手指衛生ガイドラインで示される「手指衛生の5つのタイミング」を遵守して手指衛生を行うことを意識しています。
- 患者様に触れる前
- 清潔・無菌操作の前
- 体液暴露リスクの後(体液に触れたリスクがある直後、処置用手袋を外した直後)
- 患者様に触れた後
- 患者様の周辺環境に触れた後
それぞれの理由として
1:手に付着している病原体から患者様を守るため
2:患者様本人由来のものを含め、病原体が患者様の体に入るのを防ぐため
3~5:患者様由来の病原体から医療従事者自身と医療エリア、他患者様を守るため
1人の患者様に接する時にも1つの処置につき1回の手指衛生を行うことが、感染経路を断ち切るためには大切になってきます。
手指衛生には流水と石鹸を用いた手洗いとアルコール消毒剤を用いた消毒があり、目に見える汚れがあるか、ないかで使い分けると言われています。目に見えない汚れがついている可能性があるので、毎回手洗いを出来ればよいのですが、毎回手洗い場に行くことは現実的ではなく、アルコール消毒を適切なタイミングで行うことがより重要になります。
以上を踏まえて、外来では以下のような取り組みを行っています。
みどり病院看護部では2024年初夏頃より、アルコール消毒ボトル携帯用のポシェットを個人が持ち歩くようになりました。それまでは部屋の壁やテーブルにアルコール消毒が設置してあったので、その場所でしか消毒できなかったのが、自分の体にボトルを下げて動くことで、すぐにアルコール消毒に手が届くようになりました。
また、消毒の使用量を調査し、月ごとの消毒使用量を数値として出すようになりました。
前月との比較もでき、消毒の頑張りを目で見ることが出来るので、より手指消毒への意識づけが進んでいるのではないかと思います。
また数年前より、外来エリアの各所に設置しているアルコール消毒にポップを取り付けて、目を引くようにしています。外来スタッフみんなで一言コメントを考えて、季節ごとに更新しています。
2024年11月現在は、秋のポップでドングリや紅葉のイラストに消毒の回数や時間などを一言コメントとして添えています。なかにはユニークなコメントもあり、更新されるとついつい見て消毒に手を伸ばしています。
以上、手指衛生について、外来での取り組みを紹介させていただきました。
消毒用ポシェット、消毒ボトルのポップ、手指消毒を頑張っている外来スタッフにぜひ注目してください!