どうやって食事の基準を決めているの? 一般食編


院内の食事を食べている方からときどき出てくる意見の中に「毎日、魚ばっかりや~、昨日も今日も魚!!」と言われることがあります。
特に魚に偏っているわけではないんです。
肉も卵も・・・バランスをみて献立に出てきているんです。
今から献立の基本となる基準決めについて、ややこしいですが出来るだけ簡単に説明してしたいと思います。

だいぶん前の栄養科のブログに当院の食事は、日本人の食事摂取基準を元に、基準を作成していて、38種類あるとお話をしました。(https://midori-hp.or.jp/nutrition-blog/diet-menu/
38種類を大きく分けると「一般的な食事」と「病態別の食事」があります。
今回は「一般的な食事」の基準の決め方についてお話ししたいと思います。
「一般的な食事」は簡単にいうといわゆる「バランスのいい食事」のことです。
日本人の食事摂取基準2015をもとにして食事の基準を決めていきます。
ここで日本人の食事摂取基準について簡単にお話します。

日本人の食事摂取基準は厚生労働省が5年ごとに改定しており、今の基準は平成27(2015)年度から平成31(2019)年度の5年間使われます。
食事摂取基準の対象は、健康な個人並びに健康な人を中心として構成されている集団とし、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下に関するリスクを有していても自立した日常生活を営んでいる者を含む。
疾患があり、治療を目的とする場合は、食事摂取基準における基本的な考え方を理解した上で、その疾患に関連する治療ガイドライン等の栄養管理指針を用いることになっています。
食事摂取基準の内容はどの年代で、どれくらいの栄養を取ったらよいかということが書いてあります。
例えば、「30~49歳 男性 身体活動レベル」はふつうであれば 1日に2650kcalを目標に食べるとよい。
ビタミンCなら1日の推奨量は100mgです。
などビタミン、ミネラル、脂質の割合などの基準が細かく決まっています。

日本人の食事摂取基準がなんとなくわかったところで、食事基準を作っていく手順を説明していきます。

患者の層を把握する

食事の種類ごとに提供した方々の1年間の平均患者層を把握します。
提供した方々の年齢を把握し、日本人の食事摂取基準を元に必要な量の平均を割り出します。
例えば、必要なエネルギーを決めるには食事を提供した集団の平均が「男性 50~69歳」と「女性 50~69歳」が平均的に多い場合、日本人の摂取基準の推定エネルギー必要量の設定は 
男性50~69歳(身体活動レベル低い)だと2100kcal/日
女性50~69歳(身体活動レベル低い)だと1650kcal/日
となります。
ですから院内の食事の種類としては、2100kcalと1650kcalの食事が必要となります。

次は献立を立てる準備 No.1

ここからの作業はパソコンが普及した今、だいぶん早くなりましたが、手作業で計算している時代はとても大変でした。
栄養士のポケットの中身のアイテムにも出てきましたが、電卓は必須アイテムでした。
またまた、平均を取ります。
今度は食品をグループ分けして約1年間に使った食品の平均を取ります。
地域によってグループ分けは多少違いますが、「穀物類」「いも類」「砂糖および甘味料」「豆類」・・・・・「肉類」「魚介類」・・・と分かれます。
例えば、「肉類」の平均は牛肉、豚肉、鶏肉など使った食品をあげ、それらの栄養素の平均を計算します。
ここで病院ごとの食品成分表が出来上がります。
献立に豚肉を多く使っていれば、豚肉の成分に近い平均値が算出され、鶏肉を多く使っていれば鶏肉の成分に近い平均値が算出されます。
これを「食品群別荷重平均栄養成分表」と呼んでいます。
ちなみにここで食品の栄養素を知るために「食品成分表」という、食品100gあたりの栄養素がわかるものを使います。

献立を立てる準備 No.2

No.1で計算された平均値を元に、食品グループを1日にどれだけ使うかを決めていきます。
例えば、「穀物類」米230g、パン類97g・・・・「肉類」60g、「魚介類」65gなどです。
最終的に患者層にあった2100kcalと1650kcalになるように過去の献立の分量などを参考にして決めていきます。
ここの段階で細かい栄養素まで過不足ないように設定していきます。
これを「食品構成表」と呼んでいます。

ここで基準を発表

当院の一般食の設定に2100kcalと1650kcalがあります。
対象者にあった食事の種類を選んでくださいと院内にお知らせします。

基準をもとにして献立を立てる

「献立を立てる準備 No.2」で1日に何をどれだけ使えば、基準を満たすかと決めました。
それをもとに献立を考えていきます。
例えば 、「穀物類」米230g、パン類97g、「肉類」60g、「魚介類」60g・・・と設定があれば、朝食にパン類50gを2個、昼食・夕食に米を230gにする。
昼食に鶏肉を使った料理を夕食に魚を使った料理を献立として入れて行きます。
大体、10日程度の平均で、設定した食品を平均的に使えているかみていきます。
こうすることで、必要な量をバランスよく提供できるようにしています。

続いて、献立をもとに調理、食事の提供、1ヶ月の栄養素の評価(集団として)、個人の評価などの作業がありますが、文章が長くなってきたので今回はこのあたりで説明を終わります。
今回の内容はちょっとややこしい献立の基準の裏側でした。
「毎日、魚ばっかりや~、昨日も今日も魚!!」
と思うかもしれませんが、肉も卵もほどよく、出てきています。
院内の一般的な食事は出来る限り、食事摂取基準に基づいて過不足なく提供できるように基準を作っています。
というマニアックに説明でした。