経口栄養補助食品とは
経口栄養補助食品とは、その名のとおり『口から(経口)足りない栄養を補う(補助する)ために摂る食品を指します。
一般的には“栄養補助食品”といわれているかもしれません。
何となく栄養ドリンクやカロ○―メイトのようなものを想像することが多いかと思いますが、今はかなりたくさんの栄養補助食品が登場しています。
栄養補助食品は目的別に使用する
現在販売されている栄養補助食品はたくさんあります。
パウダー状・液体状・ゼリー状・固形のものなど形もさまざまですし、含まれるカロリーやたんぱく質、その他の栄養素も違います。
病院では栄養補助食品は食事量が取れない場合や、特定の栄養素の充足を目的に使用させていただく場合が多いのですが、医師や管理栄養士が管理しています。
では、ご家庭ではどのように栄養補助食品を選択するのでしょうか?
栄養補助食品の選択
栄養剤の選択にはいくつか考えなければいけないことがあります。
① 何を目的に栄養補助食品を使用するのかを考えましょう。
食事をしっかりと摂ることはもちろん大切ですが、『どうしても食が細くて必要な栄養が摂れない』『特定の疾患があり、食事だけでは栄養を補うことが難しい』『摂食・嚥下機能に問題があり、物性が一定のもので栄養を補給したい』などいろいろな理由で栄養補助食品を使用する場合があると思います。
まずは目的をはっきりさせましょう。
たとえば、食事量が少なくて困っている場合は、『少量でエネルギーやたんぱく質などを含む栄養剤』が必要になりますし、腎臓が悪い人であれば(腎臓疾患の患者様はたんぱく質の制限がある場合があります)『たんぱく質は少なくエネルギーを補充する』ことが必要です。
摂食・嚥下に問題がある人は『飲み込みやすい形態で欲しい栄養が含まれていること』が大切になります。
このように、目的がはっきりすると選択する栄養補助食品の種類をぐっと絞ることができます。
② 使用量や味などが本人の好みにあっているか
必要な栄養が含まれているものを見つけても継続して摂取できなければ意味がありません。
栄養補助食品は少量で高エネルギーのものが多いのですが、濃厚で甘い味付けのものが多く『お父さんは食事が少ないから栄養補助食品を使いたい』『でも甘いものは嫌い』そんな場合に甘い栄養補助食品を毎日とってもらうのは難しいですね。
最近では甘くないものもありますので、栄養補助食品を選択するときは食べる人の嗜好を気にすることも大切です。
味も一種類ではなくいろいろな味が詰め合わせになっているものもあります。
また、必要な栄養を補おうとたくさんの栄養補助食品を使用するのは本人にとって苦痛かも知れません。
摂取できる量かどうかも大切になってきます。
③ 価格や入手方法は問題ないか
選択した栄養補助食品は継続的に購入可能な価格でしょうか?
1日にいくつ使って、1ヶ月にどのくらいかかるのか計算してみましょう。
またどこで購入するのかも確認が必要です。
遠くのお店まで買いにいかなければならないのか、インターネットで購入できるのか確認しておきましょう。(みどり病院に入院、通院中の患者様には近くの調剤薬局で発注して退院時や外来受診の後に持って帰ってもらうことが多いです)
栄養補助食品を使用した患者様の一例
現在、栄養補助食品を使いたいと考えていらっしゃる方は結構多いと感じます。
過去に男性患者様の奥様に退院前の栄養相談をさせていただいたときに栄養補助食品を紹介したケースがあります。
患者様は咀嚼や嚥下が上手にできないため、病院ではミキサーにかけたペースト状のものや、ムース・ゼリー状のものを提供していました。
そのためご自宅でもそのような食事をされることが望ましい状態でした。
ご自宅での食事の管理は奥様が行うことになっていました。
しかし、ご自宅ですべての食事を作りそれをミキサーにかけて・・・3食栄養がしっかり摂れるようにというのは調理者の負担も大きいものです。
説明をしているときも、食事の準備をする奥様は不安げな様子でした。
そこで、栄養補助食品のカタログをお渡しし、患者様の食べられる形の商品をいくつかご紹介しました。
『こんな便利なものを使えば時々は作る手間を省けますよ』
『足りない栄養も市販の栄養補助食品で補充できますよ』
とご紹介すると奥様も少し安心された様子でした。
このようなケースでは患者様本人の栄養摂取を補うだけでなく介護者の負担軽減にも栄養補助食品がうまく利用されたと思います。
栄養補助食品はあくまで“補助”的なものではあり、基本的な食事を栄養バランスがよくなるように摂取することがもちろん大切です。
しかし、上手に使えば生活を豊かにするものでもあると思います。
適切な栄養補助食品を選択し、活用していきましょう。
医師や管理栄養士に相談のもと使っていただくのが良いと思いますので、お困りの際はぜひともみどり病院の栄養士にご相談ください。