管理栄養士になるには

管理栄養士の国家試験に合格してから5年近く経ちます。
患者さんや、一般の方には「栄養士」も「管理栄養士」も違いがわからない方が多いですし「栄養管理士さん」と言われることも多いですが、管理栄養士です。笑
今回は管理栄養士の資格について少し知ってもらえればと思います。

・管理栄養士になるには

管理栄養士になるには、まず栄養士の資格を取得してなければなりません。
なので、管理栄養士=栄養士の資格も持っているので「栄養士さん」と呼ばれても間違いではありません。
ただし、管理栄養士になるためには国家試験に合格する必要があります。
私は大学4年生の時に国家試験を受けました。
懐かしい思い出です。

まず、栄養士の免許を取得するためには、国が指定した「栄養士養成施設」もしくは「管理栄養士養成施設」で学び、卒業することが必須です。
栄養士養成学校には、①4年制大学②3年制の短大・専門学校③2年制の短大・専門学校があり、いずれも卒業と同時に無受験で栄養士免許が取得できます。
ただし、管理栄養士国家試験を受けるためには、免許取得後に国が定める施設で一定期間(1~3年)の実務経験を積まなければなりません。
なので、管理栄養士になるパターンとしては
①4年制大学で栄養士取得⇒1年の実務経験⇒国家試験
②3年制の短大・専門学校で栄養士取得⇒2年の実務経験⇒国家試験
③2年制の短大・専門学校で栄養士取得⇒3年の実務経験⇒国家試験
があるということになります。

では私は大学4年生のときに国家試験を受けたとお話しましたが、いったいどういうことでしょう?
実は私が通った大学は「管理栄養士養成学校」で4年制大学・専門学校があります。
国が指定した管理栄養士養成学校で必要なカリキュラムを受け、単位をとれば実務経験なしで国家試験を受けることができます。

このように、管理栄養士になるにはいくつかのルートがあります。
厚生労働省の発表によれば第31回管理栄養士国家試験の合格率は54.6%、第27回では38.5%となっています。
全体で見てみると結構合格率が低いので驚きです。
実際は、栄養士の実務経験を経て管理栄養士を受ける場合の合格率が低くなっており、4年制大学から新卒で受験する場合は80~90%の合格率だといわれています。
専門的な勉強をする必要があるため、どうしても管理栄養士になりたい場合は4年制の大学へ進学するのが確実かもしれません。
もちろん実務経験を経て管理栄養士に合格された方もいらっしゃるので、いろいろなパターンで受けられることを知ってもらえればよいと思います。

・管理栄養士と栄養士の違い

栄養士法では、栄養士は「栄養士免許を取得し、栄養士の名称を用いて、栄養の指導に従事する人」、管理栄養士は「管理栄養士の資格を取得し、管理栄養士の名称を用いて、栄養の指導に従事する人」となっています。
①栄養指導
たとえば栄養指導の場合、栄養士と管理栄養士では指導できる対象者が違います。
栄養士は主に健康な人々を対象に栄養指導・給食管理を行うのに対し、管理栄養士はその方々に加え、傷病者など個々のさまざまな症状・体質を考慮した栄養指導や給食管理を行います。
例えば主治医に「糖尿病なので栄養指導を受けましょう」と言われた方がいた場合は“糖尿病”という病気の方に対する栄養指導ですので管理栄養士が担当することになります。
②施設に対する配置
栄養士の場合、「継続的に1回100食以上または1日250食以上提供する給食施設(特定給食施設といいます)」においてその設置者は「栄養士」を置くように努めなければならないと健康増進法で定められています。
必ず置かなくてはならない施設は、「医療保険機関」「情緒障害児短期治療施設」「救護施設」「更生施設」があり、その他の施設は条件により必置である所があります。
管理栄養士は、「特定給食施設のうち1回300食以上1日750食以上提供する給食施設において栄養士のうち少なくとも1人は管理栄養士を置くように努めなくてはならない」と定められています。
そのほか、医学的な管理を必要とする者に食事を供給する特定給食施設や提供食数の多い施設には管理栄養士の必置基準があります。
栄養管理が必要な施設や、給食の提供数が多い施設には管理栄養士が求められているということです。

このように栄養士・管理栄養士は食に関する仕事を担う職業です。
特に医療機関では管理栄養士に遭遇することもあると思いますが、食に関してはお気軽にお声かけください。
皆さんに「栄養管理士」ではなく「管理栄養士」とちゃんと呼んでもらえるような身近な存在になれればいいなと思います。