日々栄養指導をしていて生活リズムが不規則になる方は糖尿病になりやすいように見受けられます。
夜勤をしている人にとって不規則な生活になる事が多いのはなぜか?また、夜勤勤務で糖尿病の患者さんに『夜勤の時、何を食べたらいいの?』と聞かれた事がありました。
『何を食べるか?』もとても重要ですが、『どのように食べるか?』も重要ですよとお伝えしました。
①生活リズムが不規則になると糖尿病になりやすいのはなぜか?
生活リズムが不規則だと睡眠障害に陥ることが多く、本来眠る時間に光刺激を受けることで体内時計リズムが乱れる事が原因の一つだと考えられ研究されています。体内時計が乱れるとホルモンバランスの乱れが起こります。ホルモンバランスの乱れは、インスリンの分泌低下、インスリンの働きの低下、食欲増進ホルモンの分泌促進、食欲抑制ホルモンの分泌低下などを介して血糖値を上昇させ、糖尿病になりやすくなります。
体内リズム(体内時計)とは、体内の時間軸を調整するシステムのことです。1週間単位の週内リズムや90分を単位とする90分リズムなどがありますが、一番メインとなるのが、1日単位のリズムを調整する日周リズムです。(サーカディアンリズム)
体内時計とは、主(親)時計とそれによりコントロールされている副(子)時計が存在しています。主時計は、中枢神経組織である脳の『視交叉上核』にあり、副時計は内臓や血管などの末梢組織に存在します。
この主時計は、脳の『松果体』から分泌されるメラトニンというホルモンで調節されています。朝、光を浴び目が覚めると主時計の働きでメラトニンの分泌が止まり、14~16時間経つと主時計の働きで徐々にメラトニンの分泌が高まり眠気を感じるようになります。このように、主時計は外界の光刺激で副時計は食事刺激で調子を合わせています。
夜勤の仕事は寝る時間と食事をする時間が昼夜逆転しますが、寝る時間や食事をする時間を決めて生活リズムを整えるように心掛けるといいでしょう。
②夜勤の時間に何をどのように食べたらいいのか?
現代日本では、コンビニは24時間開いていて、夜勤の方はよく利用されるのではないでしょうか?一般的なコンビニに売られている物を例に3つのポイントを紹介していきたいと思います。
⑴勤務中に飲む飲み物に気を付けましょう。
仕事前や仕事中にコンビニで食べ物と一緒に飲み物を買いませんか?清涼飲料水など甘い飲み物をだらだらと飲み続けると血糖値が高い状態が続き血管に負担がかかるのでお茶や麦茶、水、無糖のコーヒーなどカロリ―のない飲み物をお勧めします。
お勧めする飲み物→お茶(0kcal/100ml)、水(0kcal/100ml)、麦茶(1kcal/100ml)、無糖コーヒー(4kcal/100ml)
注意する飲み物 →スポーツ飲料(20kcal/100ml)、乳酸菌ウォーター(47kcal/100ml)、カフェオレなど(44kcal/100ml)
⑵1日3回食事をしましょう。
夜勤の時は、起きて食べずに仕事に行っていませんか?
1日に2食しか食べない人は、1回に食べる量が増えドカ食いになりやすい為、できるだけ食事時間を決めて3回食事を摂ると食事量が安定してきます。
夕方起きる時に食べる食事は、脳が速やかに栄養にできるのは糖質なので炭水化物をしっかり摂りましょう。勤務中の夜中に食べる食事は、蛋白質や野菜を主に組み合わせた食事にしましょう。
勤務後は、寝る前なので糖質の多い食事は血糖値が上がり深い眠りができなくなるので糖質の少ない食事をお勧めします。
例)ある糖尿病の患者さんの例を挙げます。
改善前)
勤務前→食べない。
勤務中→おにぎり2個
勤務後→ご飯、ラーメン
改善後)
勤務前→おにぎり(鮭)、サラダ(野菜)、味噌汁
勤務中→納豆巻き、おでん(卵、はんぺん、大根、こんにゃく)
※運転中(タクシードライバーなど)は食べやすいサンドイッチなどがお勧めです。
勤務後→煮物やシチューなど
⑶食べる順番を工夫しましょう。
野菜や蛋白質を先に食べると血糖値の急な上昇がなだらかになります。
野菜を食べると食物繊維が糖質の吸収をゆるやかにし、おかずを食べると蛋白質や脂質が消化管ホルモンの分泌を促すことで胃の動きをゆるやかにし血糖の急な上昇を抑えることができます。おにぎりや菓子パンなど糖質の多い食事を食べる前にサラダや煮物などの野菜やおかずを先に食べると良いでしょう。
コンビニに行くとまずおにぎりや菓子パンコーナーに行っていませんか?食べる順番があるように買う順番も煮物やサラダ・惣菜コーナーから先に買い物するのも一つの工夫でしょう。
これらを参考にして、食生活改善に少しでも貢献できたらと思います。
参考文献
糖尿病ネットワーク https://dm-net.co.jp/
武田薬品工業株式会社 https://tainaidokei.jp/