あんまり食べないのにどうして痩せないの?~脂肪肝を防ぐために~

栄養科

栄養指導をしていてある患者さんに出会いました。
その患者さんは私に「私は痩せにくい体質だから」と言いました。私は思いました。

痩せにくい体質とは何だろう。

その患者さんは脂肪肝という病気を持っていました。病気によるものだろうか。年齢的にいうと加齢による基礎代謝の低下によるものだろうか。1日の消費エネルギーの低下によるものだろうか。
いろいろな原因があると思いますが、1日の消費エネルギーとは何か、基礎代謝とは何か、脂肪肝について考えてみました。

1日の消費エネルギーとは、基礎代謝と運動などの生活活動量と食事誘発性熱産生に分けられます。
運動などの生活活動量とは、歩いたり、運動したり、家事をしたり、仕事をするときに消費するエネルギーです。
食事誘発性熱産生とは、食事をする時に消費するエネルギー量のことです。
1日の全エネルギー消費量のうち、約60%が基礎代謝量、約30%が生活活動量、約10%が食事誘発性熱産生の割合で消費されます。
1日の消費エネルギーとは、つまり1日の全エネルギー消費量で基礎代謝量はその中に含まれるということです。

基礎代謝量とは、簡単にいうと何もしないでも消費されるエネルギー量です。
心拍や呼吸、体温の維持に必要なエネルギー代謝量です。そのため、人はたとえ寝ていても多くのエネルギー量を必要とします。個人差はありますが、ヒトの臓器・組織における基礎代謝量の割合は次のようになっています。

骨格筋:22%
肝臓:21%
脳:20%
心臓:9%
腎臓:8%
脂肪組織:4%
その他:16%

このように骨格筋が22%なので基礎代謝量を上げるには筋肉をつける事も大事ですが、肝臓が21%を占めていることは、内臓が健康に動いていることも大切です。

次に、脂肪肝とはどんな病気かを考えました。脂肪肝とは脂質の1つである中性脂肪が肝臓内に30%以上蓄積する状態です。
それにはまず肝臓はどんな働きをしているのでしょうか?
肝臓の主な働きは、
①代謝
②エネルギーの貯蔵
③胆汁の生成
④解毒
などです。①代謝は主に食べた物は胃や腸などの消化器官で消化された後、肝臓に送られ代謝されて体内で使える形にします。②エネルギーの貯蔵は、いつでもブドウ糖の補給ができるように備蓄しています。③胆汁の生成は、コレステロールと胆汁酸から胆汁を作り出しています。脂質の消化吸収を助ける働きや肝臓で処理された不要物を排泄する働きや、血中のコレステロールを調節する働きもあります。④解毒は、有害な物質(アルコール、アンモニアなど)を分解して無毒化する働きがあります。
肝臓の働きの①代謝の働きで吸収された栄養素は一度肝臓に運ばれます。②エネルギーの貯蔵で過剰な栄養摂取は肝臓に中性脂肪が蓄積されていき肝臓の働きが悪くなります。
肝臓の働きが悪くなると基礎代謝が下がり痩せにくくなります。高カロリーな食事、運動不足などにより栄養素の過剰摂取は肝臓の働きを悪くするので気を付けましょう。この他に飲酒をし過ぎると肝臓の働きが悪くなり脂肪の分解を抑制することで肝臓に中性脂肪が蓄積して脂肪肝になります。

最後に、脂肪肝になったらどんな食事をすればいいのか?
肝臓では、脂肪の分解物である脂肪酸からだけでなく糖質の分解物であるブドウ糖、アルコールからも脂肪を合成しています。
まず、栄養素の過剰摂取を防ぐために①摂取エネルギー量を制限することが大事です。
その他に、②甘いものの制限、③脂質を控える、④蛋白質の適正な確保、⑤食物繊維の多い食品を摂る、⑥禁酒などがあります。

①摂取エネルギー量を制限する

適正なエネルギー量を摂取しましょう。

1日に必要なエネルギー量の目安
⇒標準体重×25~30kcal
※肥満がある場合は少ないエネルギー量をかけます
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
例)身長150cmの場合
1.5m×1.5m×22=49.5kg(標準体重)
約50kg×25~30kcal=1250~1500kcal(1日に必要なエネルギー量)

②甘いものの制限

特に砂糖は消化・吸収されやすく中性脂肪になりやすいので気を付けましょう。
また、ショートケーキ、シュークリーム、クッキーなどは砂糖だけでなく脂質も多く含むので要注意です。

③脂質を控える

唐揚げ、天ぷら、フライの順に油の含有量が増えるので気を付けましょう。
ひれ肉、もも肉、ロース肉、ばら肉の順に肉の部位によって脂肪量に差が出るので気を付けましょう。

④蛋白質の適正な確保

標準体重(kg)×1.1~1.2g
例)体重50kgの場合
50kg×1.1g~1.2g=55g~60g

⑤食物繊維の多い食品を摂る

食物繊維は糖質や脂質の吸収を遅らせる働きがあります。

⑥禁酒する

休肝日を作るといいでしょう。アルコールを飲まない日を作ると肝臓を休めることになります。

痩せにくいなぁと感じたら、運動して消費エネルギーを増やす事も大事ですが、自分の体が今どういう状態かを理解して食事量や運動量を考えるとより効果的に痩せるでしょう。健康になって笑顔を増やしてほしいです。

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