災害時のお薬手帳の役割

20160215_pharmacy_01
皆様こんにちは、冬本番となり寒さがいっそう厳しくなっております。
風邪などお引きにならないよう、お気を付け下さい。

早速ですが、皆さんはお薬手帳をお持ちですか??

なにそれ知りませんと言うそこのあなた

もしもの時の保険で一冊お持ちになることをお勧めします。
もうすでにお持ちの方は、入院の折には必ず持参して下さい。

お薬手帳があれば、より安全な薬物療法を提供する事が出来るのです。
普段はそんなに使わないけれど、実はとっても大事なお薬手帳の使い方についてお話ししたいと思います。

まずはじめに、日本で発売されている医薬品成分は1万種類以上あります。
更にいくつかの製薬会社が異なる商品名で販売していたりもするので、実際は1万種類以上のお薬が日本で処方されています。

そして日本には同じ成分で名前の違うお薬が、数多く存在します。
食品用ラップフィルムでいうと“クレラップ”と“サランラップ”みたいなやつです。
ああいったものがごまんとあるわけです。

いろいろな病院からいろいろなお薬を処方されると、偶然にも全く同じお薬や、一緒に服用してはいけないお薬の組み合わせが出て来てしまいます。

いくつかの病院を掛け持ちしている方もいらっしゃるのではないでしょうか??
そのいくつかの病院から処方されたお薬を、ひとまとめにし、重複や悪い組み合わせを防止するのが、お薬手帳の役割です。

そしてお薬同士でどうしても馬が合わない組み合わせ。
“併用禁忌”と言います。
必ず避けなければいけない組み合わせで、お薬を服用すると、体になんらかの悪影響が起こります。

さてお薬手帳の役割はそれだけでしょうか?

実は災害の時にも助けてくれるかもしれません。
5年前2011年(平成23年)の東日本大震災でもお薬手帳の有用性が報告されています。
簡単にご紹介しましょう。

あらゆるライフラインが不能のなか、当然患者さんのカルテもなく応援の医師は問診などで対応していました。
薬剤師がお薬手帳の所持を確認すると多くの被災者の方がお薬手帳を持参しているとのことで、手帳で既処方内容や併用薬、病歴等を確認する事が出来、診療がスムーズに行えたケースがありました。

また、医薬品の安定供給がなされない中で、代わりのお薬を用意する事は簡単ではありません。
普段自分の服用しているお薬の名前を正確に把握している方は少ないのではないでしょうか?
血圧や不整脈のコントロールはそのお薬でないとコントロールできないという方もいらっしゃいます。
そんな方に全く同じお薬を提供するには、やはりお薬手帳があると無いとでは大きく違ってきます。

医師や薬剤師は、薬の名前を見れば、大まかな現病歴を予測する事が可能なので、やはり普段自分の服用している薬の記録を持つという事は、皆様が思っている以上に重要な事なのかもしれません。

普段はもちろん緊急時にもあなたを助けてくれるかもしれないお薬手帳。
まだお持ちでなく普段から病院にかかる機会の多い人はぜひ1冊お持ちになることをお勧めします。