心房細動を斬る-カテーテルアブレーション治療-
心房細動から脳梗塞に・・
心房細動は心臓の上半分の心房という部分で電気回路がショートして、そこが痙攣して起こる病気です。心房細動になると心臓の中の血液がよどみ、血栓という血の固まりができることがあります。この血栓が心臓から脳につながる血管に詰まると脳梗塞になります。サッカーのオシム監督や野球の長嶋監督も心房細動から脳梗塞になってしまいました。
脳梗塞の予防には血をサラサラにするワーファリンやDOAC(プラザキサ®、イグザレルト®、エリキュース®、リクシアナ®)という薬を内服して血栓を予防することが必要です。また、心房細動では脈がばらばらになり、頻脈となることによって心不全を発症することがあります。これら脳梗塞や心不全を予防していくためにも心房細動の治療が必要となってきます。
異常な回路をばっさり
心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)
心房細動自身に関しては、発作がおこらないようにする必要があります。
そのため以前は内服薬のみでしたが、最近はその不整脈の異常回路を直接切断する治療が広まってきています。それがカテーテルによる心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)です。これはカテーテルを操作して心臓の中の心電図を直接記録して、異常電位をピンポイントで探し出し、高周波で焼き切る治療です。つまり異常な回路をばっさり切り捨てるということです。
カテーテルという長い道具を使って斬り捨てるという意味では昔の侍に通じるところがあるように思います。
江戸時代初期の剣豪 宮本武蔵は次のような言葉を残しています。
「多数の人間と戦う時は、こちらが待っていてはいけない。敵が四方から攻めかかってきても、むしろ、こちらから、一方へ追い回す心で向かっていくべきである。待っていてはいけない。こちらから強く切り込み、敵の集団を追いくずし、切りくずしていくのである。」
多数の異常電位を追いこんで焼灼し、異常回路をきっていくアブレーション治療に通ずるものがあると感じています。
我々は不整脈で悩んでおられる方を少しでもよい状態にもっていけるように常に努力し、カテーテルの宮本武蔵を目指して日々精進していく所存です。