脳梗塞とは?
脳の血管が狭くなったり詰まったりすることで脳の血のめぐりが低下し、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥り、その状態がある程度の時間続いた結果、その部位の脳組織が壊死(えし)(梗塞)してしまったものをまとめて「虚血性脳血管障害」と呼びます。
虚血性脳血管障害はさらに「脳梗塞」と「一過性脳虚血発作(TIA)」に分けられ、今回お話する「脳梗塞」は脳細胞にすでにダメージが起こってしまったものをいいます。
脳梗塞が起きやすいのは?
脳梗塞は高齢者に起きやすく、また男性に多い病気といわれています。
危険因子である高血圧、糖尿病、喫煙、大量飲酒、肥満などなど、いずれも生活習慣に関係したものであることから脳梗塞の予防はまず生活習慣を正し、医師の指導に従って治療すべき生活習慣病を早めに治すよう努力することが必要といえます。
~検査方法~
●CT検査●
CT検査が最も威力を発揮する病気は、脳出血や、くも膜下出血など、「出血を伴うもの」です。
新しい出血はCT画像では白く見え、出血の起きた直後から一目瞭然でわかります。
また、徐々に脳の外側に血がにじみ出て脳を圧迫する慢性硬膜下血腫、脳の中あるいは脳を包んでいる膜にデキモノができる脳腫瘍、脳の中に膿の塊ができる脳膿瘍といった病気もCTでわかります。
脳梗塞は脳出血とは違い、血管が詰まりその先の脳細胞が壊死する(死んでしまう)病気ですので、壊死した脳組織は黒く見えますが、CTでわかるようになるまでに少なくとも数時間以上かかります。
↑CT検査による脳内出血の画像
●MRI検査●
急性期(できたて)の脳梗塞の診断はMRIで診断します。
従来のMRIの撮影法では、古い脳梗塞と新しい脳梗塞は区別できませんでした。
そこに登場したのが「拡散強調画像」と呼ばれる撮影方法で、拡散強調画像は発症して2週間以内の脳梗塞を描出することが出来ます。
①の拡散強調画像で白く描出されているのが比較的新しい脳梗塞で、拡散強調画像ではないMRIの画像では②のようにわかりづらい画像となります。
これにより、急性期脳梗塞では拡散強調画像がいかに分かりやすいかが一目瞭然ですね!
MRI画像で脳梗塞が一目でわかるならすぐやればいいのでは?
脳梗塞がMRI画像ではっきり分かるなら、被ばくのあるCT検査からではなく、被ばくのないMRI検査から行えばいいじゃないかと思われる方も多いのではないでしょうか?
しかし、これにはいくつかの問題があります。
一つは、病院に到着した時点では脳出血も疑われているということです。
脳出血も一刻を争う病気ですので、検査時間がMRI検査より遥かに短く、脳出血の描出においてMRI検査よりも優れているCT検査を第一選択として行います。
また、MRI検査は情報が少ない救急患者さんに行うにはリスクが高く、体内にペースメーカや金属を入れている方だった場合、故障や新たな問題を引き起こす結果となり、脳梗塞以上の問題が起こる可能性もあります。
「MRI検査は受けたいけど狭いところは、、、」という方へ
当院は解放的なオープン型MRIを使用しております。
撮影方法としましては、頭部をコイルと呼ばれる頑丈なカバーで覆い、装置の中心まで入って頂かなければなりません。
オープン型ですので顔の右側は開放されているのですが、頭部の検査ですので顔を横に向けたり、顔を動かすことは出来ません。
そのため、オープン型MRIを実際に見て検査を諦める方や、検査に挑戦するも断念される方がいらっしゃるのも事実です。
しかし、筒型では無理でしたが、オープン型では検査が出来た方も少数ではございますがいらっしゃいますので、お気軽にご相談下さい。
「閉所恐怖症の方にもやさしいMRI検査」も合わせてご覧ください。
https://midori-hp.or.jp/radiology-blog/open_mri/