MRI検査を受ける前に疑問を解決しておこう!

10月になり服装もだんだん厚着になってきました。
今回は、MRI検査における注意すべき衣類・装着品等についてご紹介したいと思います。

~MRI検査での着替えについて~

MRIの検査を受ける前に必ず行われるのが、問診票のチェックです。

問診票では、ペースメーカー・人工内耳・除細動器などのような体内に埋め込まれた機械、脳動脈クリップ・コイル・ステント(脳、心臓、腹部など)・人工心臓弁・人工関節・義眼などのような手術によって体内に埋め込まれた金属類、事故や怪我などによる金属、刺青やアイシャドウ・カラーコンタクト・入れ歯・カツラなどに含まれる(付属する)金属についてチェックを行います。
その他に季節による服装、所持品に合わせてチェックを行っていきます。

1:「使い捨てカイロ」
これからの寒い季節に欠かせなくなってくるのがカイロですよね?
使い捨てカイロの袋の中には、鉄粉が入っていることを皆様ご存知でしょうか?
カイロは、この鉄粉が空気にふれることにより発熱する仕組みとなっているのですが、この鉄粉にMRI検査で発生する”RF波”があたることによっても発熱してしまいます。
そのため、使い捨てカイロを身につけたままMRI検査を受けると、検査中に熱が発生し火傷をする可能性がありとても危険なのです。
また、カイロの袋が何かの拍子に破れてしまうと、カイロの中に入っている鉄粉がMRI装置による強力な磁場に引っぱられ、装置に張り付き、装置そのものが使えなくなってしまいます。
なので、MRI検査時にはカイロは必ず外して頂くよう、よろしくお願い致します。
タオルケットなども用意しておりますので、お気軽にお申し出ください。

図2:使い捨てカイロの中身(左)とMRI装置に鉄粉が張り付いた写真(右)【他院参照】

2:遠赤外線下着やヒートテックなどの「機能性肌着」
自ら発熱する素材のことを発熱繊維と言い、最近よく耳にする「機能性肌着」もこれに該当します。
発熱の仕組みはいろいろあります。
体温などの熱を利用するものは、熱が加わると遠赤外線を発するセラミックス(金属酸化物の一種)が練りこまれており、このセラミックスはMRI検査で発生するRF波をはね返してしまうため、画像を得ることができなくなります。
また、使い捨てカイロと同様に金属成分を利用した発熱ですので、火傷の可能性もあります。
吸湿熱という仕組みを利用しているヒートテックなどは、汗や湿気などの水分を吸収すると水分がもつエネルギーが熱に変わるため暖かくなり、また保温性にも優れているため暖かさが保たれます。
そのため、MRI検査で発生するRF波により体内で温度上昇がおこると体温調整のために肌から放出される水蒸気も多くなり、通常時よりも衣類がより湿ることで発熱量も増え、火傷する可能性が高くなります。
また、保温性に優れていますので温度上昇はさらに容易に起こりやすく、火傷を惹起しやすい状況となります。

~よくある質問~

「私、歯の治療をしてインプラントなんやけどMRIの検査は受けれますか?」
よくこのような質問を受けます。
インプラントとは、人工の歯根をあごの骨に埋め込んだ治療のことを言います。
インプラントによってMRI装置が壊れてしまったり、ノイズが発生するなどによって画像に影響が出ることはあまりありません。
しかし、インプラントの種類によっては検査が難しいものもあります。
1)インプラントを構成するその他のパーツが、MRIの禁忌となる金属を使用している場合。
2)人工歯根の部分であるインプラント体と、人工歯の部分を磁石で連結している着脱可能となっているものは、検査後「磁石の力が弱まった」や「磁石がくっ付かなくなった」などの事例が稀にあることが報告されており、検査を受けるかどうかを患者さん自身の責任のもとで決断して頂いております。
当院では、インプラントをされたまま検査をされた際に何か問題が起こっても責任を取る事ができませんので、インプラントをされている方がMRI検査を受ける際は、あらかじめ治療を受けた病院でMRIに対応したものを使用しているのかなどを聞いて来て頂いております。

検査によって持ち込みが許されるもの、許されないもの様々ありとてもややこしいですよね?
当院では患者さんの不安を少しでも和らげられるよう心がけておりますので、お気軽にお尋ねください。